【REVIEW2021 ❸ 社会】
新型コロナウイルス感染症問題
解 PCR検査
― 誤解と嘘と抵抗 ―
■新型コロナウイルス感染症
<国内感染状況>(YAHOO! JAPAN)
※2021年1月10日 23時55分更新分
※データ提供:JX通信社/FASTALERT
●感染者数 288,825人
●新規感染者数 6,095人
●死亡者数 4,066人
<世界の感染状況>(YAHOO! JAPAN)
※2021年1月11日10時00分更新分
※2021年1月10日現在WHO発表
米国ジョンズ・ホプキンズ大学のシステム科学工学センター
(CSSE:Center for Systems Science and Engineerring)
●感染者数 88,383,771人
●新規感染者数 790,456人
●死亡者数 1,919,126人
「PCR検査をやって、その時は陰性と判っても、翌日新型コロナウイルス感染症に罹るかもしれないから意味が無い。」
「PCR検査をやっても偽陰性の問題があるから、コロナに罹っていないとはいえない。」
「PCR検査には偽陽性の問題があり、人権侵害になる可能性があるから検査は慎重にするべきだ。」
「発見された陽性者を全員入院させる事は困難だ。」
「ある地域の全住民、又は全国民にPCR検査をする事は無理だ。」
といった意見をよく耳にします。
果たして、PCR検査はそんなに意味の無い無駄で困難な事なのでしょうか。それならば、何故諸外国でこんなにPCR検査を実施しているのか説明が付かないのではないでしょうか。
これらの意見をよく検証してみると、どれも曲解があるように思います。PCR検査の方式は、次の2つになると考えられるからです。
1. PCR検査の社会的検査方式 (社会政策目的的検査)
2. PCR検査の医療的検査方式 (医療目的的検査)
この2つの方式を各々活用すれば、前述の疑問が解決します。
まず、1つ目のPCR検査の社会的検査方式ですが、この方法は市中から新型コロナウイルス感染者を保護し、隔離して、治療し、回復させ、また社会に戻すための検査方式です。つまり、市中で陽性者と陰性者を判別し、市中感染率を低下させるための検査方式になります。
そして、この検査方式は、無限に回数を重ねる必要が無いという事です。新型コロナウイルス感染症を面で捉え、1回の検査でその時の陽性者を全て保護する事ができるので、市中から新型コロナウイルス感染者の大部分を発見でき、市中感染率を相当程度下られるからです。
注意が必要なのは、あくまでも市中の感染者を発見し、市中感染率を低下させるためにするという事です。従って、例えば第1回目の社会的検査で、感染はしているが十分にウイルスが増殖しておらず、感度の高いPCR検査でも発見できなくても問題ありません。第2回目を実施すれば、漏れた人をサルベージする事ができるからです。これを必要回数繰返せば、市中感染者数は極少化します。
本来なら、このような緊急事態宣言自体を回避するために、このPCRの社会的検査を実施すべきでしたが、政府専門家提言機関である新型コロナウイルス感染症対策分科会(略称 政府新型コロナ対策分科会)は、この検査方式の提言を怠ってきたため、今、この国は感染者数の指数関数的増加に見舞われています。しかし、現在のように市中感染率が非常に高く、陽性者が極端に多い場合でも、このPCR検査の社会的検査はするべきなのです。
但し、その場合は、政府の緊急事態宣言の発出の下、基本的対処方針に基づき、都道府県知事による強い緊急事態措置の発令も必要でしょう。感染症対策には各フェーズがあり、今のような市中蔓延状態では、この2つの政策を併用する必要があるからです。
この未知のウイルスは感染症法で第2類相当の指定を受けています。つまり、陽性者は全員入院等の措置が必要なります。しかし、現在は、このような措置は執られていない事はご存じの通りです。高齢者や基礎疾患のある人を除き、運用上、無症状者は、宿泊療養施設での療養の措置が執られているからです。
すなわち、大多数の無症状者をいくら見付けても病床の逼迫とは無関係という事です。政府や都道府県がすべき事は、保健所体制の拡充と若年層の無症状者を発見し、医師、看護師が完備された宿泊療養施設を用意する事なのです。そして、これは決して困難な事ではありません。この未知のウイルスに対抗するためには絶対的に必要な事であり、他に方法はありません。
PCR検査の社会的検査 = 市中感染率低下が目的
2つ目は、PCR検査の医療的検査方式です。この検査方式は、個人や個人が家族等のために行う医療的検査です。例えば、新型コロナウイルス感染症の大きな問題は、久しぶりに家族と会うときや自分が新型コロナウイルス感染症に感染したかもしれないと懸念したとき、自分が新型コロナウイルスに感染しているか否かが判らない状況で、家族である高齢者や基礎疾患のある人に感染させ、その結果、重症化し、重篤化して、亡くなられる家庭内感染にあります。更に、この検査方式は、家庭内感染に限らず、院内感染、高齢者施設内感染、職場内感染、学校内感染も同時に防ぐ事ができます。
何故、このような家庭内感染等が起きるかは、詰まる所、この新型コロナウイルス感染症が未知のウィルスによって惹き起こされる事に尽きます。すなわち、それは無症状者が感染能力を持っているという事です。それも非常に強い感染力です。この事実はこれまでのウイルス学の基本テキストには記述されておらず、世界の誰もが想定していなかった新たな脅威なのです。
この家庭内感染等を防ぐには、個人が何時でも、何処でも、誰でも、何回でもPCR検査を受けられるようにしておかなければ有効化しません。この場合も、偽陰性や偽陽性の問題は、個人が何回でもPCR検査を受ける事で殆ど全て解消できます。
PCR検査の医療的検査 = 自身の命を守る事と家庭内感染等の感染防止が目的
偽陰性や偽陽性の問題は、実はPCR検査では殆ど起こらないと言われています。PCR検査は、検出したウイルスを増幅させ、ターゲットとしているウイルスの遺伝子を見付ける方法です。
例えば、偽陰性、つまり本当は陽性なのにPCR検査で陰性と判定されてしまう問題ですが、その感度は70%と言われています。この確率は、最も低い時の値で、専門家が例える話では、PCR検査を殆ど実施した事が無い国で、初めてPCR検査をする人が、何らかの理由で起こるパーセンテージであるという趣旨の説明をしています。
つまり、日本のように、医療が先進国の中でも進んでいて、検体を採取する人も臨床検査技師という国家試験に合格した人がする国では、そのパーセンテージも自ずと大きく上がり、更にPCR検査自体他の検査方法に比べ、格段に精度が高い検査方法である事に鑑みると、むしろ何か他の意図を持って、敢えて偽陰性の問題を持出しているという疑いさえあるのです。
そして、偽陽性の問題ですが、こちらの方は、殆ど起きない、つまり99.9%以上起きないとPCR検査機器メーカーの方が断言していますので、ことさら問題にするのも不可思議な話です。因みに、何故偽陽性が殆ど起きる現象ではないかというと、前述したようにPCR検査方法では、検出したウイルスの遺伝子を増幅させて感度を上げる方法なので、そもそもその検体にウイルスがい無ければ検出しようがないからです。
但し、1つだけ可能性があります。それは、人の身体の中で、新型コロナウイルスは不活化され、治癒されていますが、その残骸が残っている場合です。この場合、感度の高いPCR検査で陽性と判定されてしまう場合があるのです。しかし、この場合も期間をおいて最低2回PCR検査をすれば、陰性と判定されるので、PCR検査自体を疑問視する次元の問題ではありません。
偽陰性や偽陽性は この国では殆ど起きない
そして、世界的に有名な国産の全自動PCR検査機器やプーリング方式によるPCR検査等、この国には十分なPCR検査をするキャパシティーがある事は、現在よく知られている事です。
費用ですが、今問題となっているのは「検査」です。診断ではありません。もう既に行われている民間検査では、2,000円から3,000円程度で陽性か陰性かを判定する事ができます。勿論この検査方式を行政検査、つまり無料で行うのです。大した予算の計上ではありません。
1つはPCR検査の社会的検査、もう一つはPCR検査の医療的検査ですが、換言すれば、1つ目はマクロ検査、もう1つはミクロ検査という事になります。このマクロとミクロの両面からの対策で、この未知のウィルスは克服できるはずです。
マクロ検査とミクロ検査 ⇒ ゼロコロナへ
日本での論争は、命か経済かの2項対立の議論ですが、命を優先し、更に社会経済活動も両立できる「第三の道」があるのです。
命か経済かの2項対立論争
から
希望の第三の道へ
この新型コロナマクロ・ミクロ対策は、少なくても専門家の皆さんは知っているはずです。しかし、日本政府の新型コロナウイルス感染症対策は、一貫してPCR検査抑制策です。
日本の常識は世界の非常識となっている現状では、このような合理的な議論とは別に、何か思想的な立場があるように感じてなりません。
この国の専門的政策提言機関は、政府新型コロナウイルス感染症対策分科会です。
そして、
この政府新型コロナ対策分科会の議事録は 未だ公開されていません
(2021年1月12日(火) リリース)