【ニュースレター2021 ❷ 不動産登記法務】
売主(債務者)の味方
戦 略 的 任 意 売 却
- 任意売却の戦略的利用法と売主(債務者)の経済的再建 -
ニュースレター2021不動産登記法務の第2回は、住宅ローン破産と売主(債務者)の経済的再建を最終目標にした任意売却の戦略的利用法をテーマに取上げます。
近年注目されている不動産任意売却ですが、それは債務者である売主にとって大きなメリットがある方法でした。不動産強制競売を回避し、通常売却と同じ手法で所有の不動産を売却する事で、売主である債務者の利益を最優先に図ると共に債権者の権利の最大化を図る方法だからです。
しかし、任意売却をすること自体が目的化し、任意売却の手続きが終了した事で安心している事が多いのではないでしょうか。不動産任意売却の最終的な目標は、債務者の経済的再建のはずです。
不動産任意売却は、その性質上、所有の不動産を売却しても住宅ローンの残債務は残ってしまいます。では、何故、不動産任意売却が選択されるのでしょうか? それは、あくまでも不動産強制競売との対比で、債務者である売主にとって有利だからです。そして、多くの債権者からしても1円でも多くの債権を回収できるため、積極的にこの不動産任意売却に参加する傾向があるからでした。この任意売却というスキームで、不動産任意売却は成功へと導かれますが、問題は、不動産任意売却後の債務者と住宅ローンの債権者である金融機関との関係です。
不動産任意売却は、一つの債務整理の準備段階に当たる方法です。自身の不動産を任意売却した後に、残った不動産住宅ローンの支払いが待っています。それは、債権者が債権額以下の弁済で担保権抹消に応じたに過ぎないからです。そのため、消滅時効を除き、不動産任意売却後も残債務がある場合は返済を求められます。
不動産任意売却の期間中は、債務者にとって事態の検討をする時間はあまりありません。実際に不動産任意売却の手続きに入った後は、当初のスケジュールに従って淡々と手続きは進行します。それは、時間との闘いなのです。
不動産強制競売手続きとの関係では、制度上、競売開札の前日まで任意売却は可能ですが、事実上、債権者との関係で、競売申立てがされ、強制競売目的不動産の物件調査後、所謂3点セット(物件明細書、現況調査報告書、評価書)が作成される事になりますが、3点セットの一般への入札閲覧開始日前までには買主が決まっていなければ任意売却は困難となるでしょう。従って、任意売却に着手できる限界は、各々の事情にもよりますが、任意売却が理想的に進捗して、入札閲覧開始日から3カ月から4カ月前程度になるのではないでしょうか。安全を考えた場合は、この期間が長ければ長い程、売主(債務者)にとって有利になります。
このような事から、住宅ローンの支払いが厳しくなってきた段階で、実際の延滞になる前に、通常売却と同時に任意売却の検討に入るべきです。そのためには、延滞の危機を感じたら、任意売却を専門分野又は取扱分野としている法務事務所の司法書士等にまずは相談する事が賢明です。司法書士も、事情の聴取から始めますので、始動するには一定の期間を要するからです。
更に、不動産任意売却の終了の仕方にも問題が有ります。何故なら、売主である債務者が不動産任意売却後の残債務に対して、返済のためリスケジューリング(債務支払い繰延べのための計画変更)をするのか、個人破産の手続きに入るのかという分水嶺が待っているからです。従って、不動産任意売却の着地点、つまり終了の仕方も考慮しなければならないからです。
すなわち、不動産任意売却という有効な方法を選択したとしても、その後の残債務の問題をどうするのか、更には、自身や家族の生活をどうしたいのか、自身の人生をどうハンドリングするのか、といった問題まで射程範囲に入れた戦略的スキームの構築が必要だという事です。
そこで、今回のニュースレターでは、不動産任意売却の有効活用と最終的な債務者やそのご家族の経済的再スタートを射程範囲にした不動産任意売却(以下「任意売却」といいます。)の有効利用に基づく戦略的任意売却について、その要説を概説します。
特に、現在、住宅ローンで困難な状況にある方々は是非、ご覧下さい。
■任意売却の有効利用に基づく戦略的個人経済再建法務
●任意売却の目的とは
任意売却の目的を定義するのであれば、住宅ローンの延滞において、債務者の過酷な状況を更に増幅させる不動産強制競売に至る前に又は不動産強制競売期間のある時点までに、債務者である売主の利益保護を最優先で図る事により、債権者の最大限の権利保護に寄与すると共に、債務者が次の新しい生活に強力に踏み出せる環境を形成する事を目的とする事といっていいでしょう。
●住宅ローン延滞と選択肢となる戦略的方法
任意売却自体は債務者の目的ではなく、債務者の経済的再建を図る事により、債務者やその家族が明日への希望を胸に力強く一歩を踏出せる環境を形成する事が最終的目標です。
つまり、あくまでも債務者の最終的な経済的再建を視野に入れたスキームが重要という事になります。
そのためには、まず、二つの大きな方針が考えられます。一つは、任意売却後の残債務をリスケージューリング(債務の支払いのための繰延べ計画の策定)するか。もう1つが、任意売却直後に個人破産手続に入るのかです。
一般的に、住宅ローンを原因とする困窮では、その債務者は多額の債務を抱えている事が多く、いかに任意売却を実施したとしても残債務は多く残ってしまう事例が殆どでしょう。
リスケジューリングの場合、原則3年以内、例外でも5年以内での完済が理想的ですが、リスケジューリングを採用する債務者は、主にカード債務型の債務整理の対象となる方々で、住宅ローン債務型の債務整理には一般的には妥当しないと考えていいのではないでしょうか。
つまり、カード債務型は、債務整理後の残債務を3年程度で完済できる残債務になる可能性が高いからです。しかし、住宅ローン債務型は、例え自宅不動産を売却しても、多額の住宅ローンが残る可能性があり、その多額の債務を3年、長くて5年程度で完成できるかは不透明な事が多いのではないでしょうか。
個人破産(いわゆる自己破産)には抵抗がある方、そもそも破産手続き自体仕事上できない方等は、債権者の同意が得られれば、リスケジューリングを検討しますが、多くの場合は、任意売却直後に個人破産の手続きに入る方が実際にも多いようです。
勿論、個人民事再生もあります。この民事再生は、ある程度定期的で一定の収入がある方が、現在の多額の借金(以下「借入れ」といいます。)のために一時的に困窮している方で、多額の残債務が軽減されれば、経済的再建は可能という方が対象になります。この場合は、住宅ローンの残債を3年以内のできるだけ短期間で返済できる場合もありますので、検討の余地があるでしょう。個人破産ではないので、抵抗感のある方や仕事上個人破産は避けたいと考えている方には有効です。
今回のニュースレターでは、一般的に多くの事例がある任意売却→個人破産という戦略で、概説していきます。
●破産法とは
破産手続とは、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等を清算する手続きです。債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適切かつ公平な清算を図る共に、債務者について経済的生活の再生の機会の確保を図る事をその目的としています。
●破産手続の種類
破産手続には、個別の裁判所の運用を含め4種類あります。この個々の手続きは各地方裁判所により採用非採用がありますので、実際の手続きでは、個別に対応する必要があります。
▼破産管財人選任型(破産特定管財人選任型。破産管財事件、通常管財事件、特定管財事件ともいいます。)
破産手続は、債務者に属する一切の財産(自由財産は除く。)を破産管財人が管理し、その財産を換価して、債権者に配当する手続です。破産管財人選任型は、原則として債務者の全財産が約50万円以上の場合に適用になる場合があります。この場合、裁判所は破産手続開始決定と同時に破産管財人を選任します。尚、破産法上、自由財産を除き、この債務者の財産、つまり破産財産は一つの集合体として破産者の管理及び処分権を離れ、破産管財人に専属します。この破産財産の集合体を破産法上「破産財団」といいます。
▼破産少額管財人選任型(破産少額管財事件)
申立人が破産少額管財人選任型での手続きを希望する場合や破産手続開始の申立人の全財産が50万円未満の場合、破産少額管財人選任型になる場合があります。この場合、破産少額管財人の報酬(例えば、20万円)の原資は破産財産又は自由財産になるため、目安としては33万円以上の自由財産の有無により判断されます。また、破産法上、破産管財人選任型でなければ破産同時廃止型になりますが、破産同時廃止型の可能性が高いが、特に資産・免責調査が必要な場合にも一部の地方裁判所では、破産少額管財人選任型が適用されます。
この方法は、破産法上の制度ではなく主に特定の地方裁判所が運用上行っている方法になります。通常の破産管財人選任型の手続きの負担を軽減する制度です。利点は通常の破産管財人選任型より費用負担が少ない事、手続が簡略化されている事、裁判所としては免責調査型の管財事件での不正防止ができる事です。
破産手続開始の申立てをする際に申立人は手続に掛かる費用を予め裁判所に納めなければなりません(これを「予納」(よのう)といいます。)。この予納金の内容は、手数料、官報広告費、郵便切手代、破産管財人への報酬等になります。特に、破産管財人の費用(報酬)の事を引継予納金といいます。この引継予納金は破産財産又は自由財産の中から充てられます。
また、通常、半年から1年程掛かる管財事件もこの破産少額破産管財人選任型では概ね2~3カ月程度で終了します。破産同時廃止型では管財人が選任されず、通常の破産管財人選任型(破産特定管財人選任型ともいいます。)では資産・免責調査が行われますが、費用や期間が掛かり、手続き自体複雑化します。そこで、破産少額管財人選任型では、この二つの問題を解決し、債務者に破産制度を利用し易くするため少額破産管財人を選任する事になります。
尚、この破産少額管財人選任型は破産法の規定をより現実に近づけるために特定の地方裁判所が運用している方法です。この破産少額管財人選任型手続きを希望する場合は、申立代理人として弁護士が受任している場合に限られています。また、この運用を採用していない裁判所もあります。
注意点としては、破産申立時に、破産者の財産の価格が一定額未満であっても、担当裁判官が同時廃止事件とせず、管財事件として決定した場合は、例え財産が無くても予納が命じられ、その額が支払われなければ破産申立は却下されます。
※法は、「標準的な世帯の2月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭」を差押禁止財産としています。政令である民事執行施行令第1条は「標準的な世帯の2月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭」を66万円としています(民事執行法第131条第3号)つまり、標準的な世帯における1か月の必要生計費は33万円という事になります。
▼破産同時廃止型(破産同時廃止事件)
破産法上、破産財団をもって破産手続きの費用を支弁するのに不足すると認められるときは、地方裁判所は破産手続開始決定と同時に破産手続廃止の決定をしなければなりません。また、地方裁判所の運用上、管財人や少額管財人の報酬の原資となる破産財産が50万円未満のときは破産管財人による、破産財産又は自由財産が20万円未満のとき(自由財産33万円は除く。)は少額破産管財人による資産・免責調査ができないため、言換えると、破産管財人や少額破産管財人を選任できないため裁判所は破産手続開始決定と同時に、破産手続廃止の決定をする事になる場合があります。消費者破産である個人破産の場合、債務者に見るべき財産を有していない事が殆どであるので、多くは破産管財人や少額破産管財人が選任されず、同時廃止型の手続で処理される事も多いでしょう。
消費者、つまり個人の破産手続きの場合、逆に言うと、破産管財人選任型や破産少額管財人選任型は費用や期間が掛かるため、破産手続開始の申立てをする際は、破産同時廃止型が申立人の負担が最も軽減される事になります。
現実問題としても、破産者の破産申立内容は破産同時廃止事件で申立てられる事が多いのではないでしょうか。
しかし、破産手続の判断は、あくまでも担当裁判官の独立した判断であるため、破産申立時に、破産者の財産の価格が一定額未満であっても、担当裁判官が同時廃止事件とせず、管財事件として決定した場合は、例え財産が無くても予納が命じられ、その額が支払われなければ破産申立は却下される事になります。
尚、この破産少額管財人選任型手続きは、申立代理人として弁護士が受任している場合に限られています。また、この運用を採用していない裁判所もあります。
▼破産同時廃止のための按分弁済型(破産同時廃止按分弁済事件)
例えば、ある特定の地方裁判所で、破産管財人に引継ぐ現金(報酬)が最低20万円とされている場合、概ねその20万円が一定の基準となります。破産手続開始の申立て時の債務者の全資産が20万円未満(自由財産33万円は除く。)の場合には原則として破産同時廃止型になります。しかし、債務者が20万円以上の財産を持っている場合であっても、全て破産少額管財人選任型として処理されるわけでなありません。当該財産が、簡易・迅速に換価・按分弁済が出来る事が明らかな場合には、わざわざ少額破産管財人を選任しなくても、債務者が任意に按分弁済をする方が簡易・迅速な破産手続の実現のために望ましいからです。簡易・迅速に換価・債権者への按分弁済が実現できないような財産の場合(売掛金や不動産等)には原則通り少額破産管財人選任型を採用するという運用がされる場合もあります。この選択は、最も債務者にとって有効であり、破産法の制度趣旨にも適っているといえます。
つまり、予納金の内、引継予納金は破産管財人の報酬であり、破産申立人の全財産の内容が現金や預貯金等客観的に判明する財産のみの場合、できるだけこのような費用を破産申立人に支払わせる事がないようにする事が合理的な運用となるでしょう。また、個人にとっても個人破産申立ての際には、この事を十分に検討する事が必要になります。
●免責許可決定の申立て
破産法上の根幹をなす手続です。免責とは、破産者の残債務について、破産者が弁済する責任を免れる制度です。個人である債務者は、破産手続開始の申立てがあった日から破産手続開始決定が確定した日以後1月を経過する日までの間に、破産手続開始の申し立てをした裁判所(これを「破産裁判所」といいます。)に対し、、免責許可の申立てをする事ができます。これが手続きの流れの中で、原則的な順序になりますが、債務者が破産手続開始の申立てをした場合には、当該申立てと同時に免責許可の申立てをしたものとみなされますので、破産実務上、破産手続開始の申立てとは別に、明示的に免責許可の申立てをする必要はありません。
つまり、債務者が免責許可の申立てと併せた破産手続開始の申立てをすれば、あとは裁判所の手続に乗り、決められた手続きの進行に従って進捗していきます。
●破産法上の破産財団と自由財産
個人破産の場合、破産申立人の財産の多寡が第一番目の大きな問題となります。破産法の趣旨は、債権者への平等の弁済と債務者の経済的再建にありますが、債権者への弁済の原資となるのは破産財団であり、破産手続上の破産管財人の報酬の原資となるのは破産財団、例外的に自由財産です。
自由財産とは、破産申立人の債権者への弁済の原資から除かれた個人破産後の破産者の経済的再建を支える原資となる財産の事です。この自由財産は、破産法上、99万円の現金と生活に必要な家財道具等になります。
つまり、破産法上、債権者への支払い原資が破産財団であり、破産管財人の報酬の原資が破産申立人の破産財団、例外的に自由財産になるという事です。従って、一見、破産法上、破産財団に組込まれない財産である経済的再建として確保されている自由財産は、破産手続上、破産申立人固有の財産であるかのように解釈できますが、地方裁判所の多くは運用で、この破産財団又は自由財産から破産管財人の報酬を支払う取扱いになっているため、結局、破産法上、破産者が破産後に経済的再建を果たすための原資となる財産は、破産少額管財人選任型の場合は、特定の地方裁判所の場合20万円未満(自由財産33万円は除く。)であり、他の多くの地方裁判所では、引継予納金により異なりますが、50万円未満又は30万円未満(自由財産33万円は除く。)としているようです。
また、拡張自由財産という方法が有りますが、この方法を採用できるのは、主に破産管財人選任型になるようです。
●個人破産のメリット
個人破産後は、残債務がゼロになります。個人破産は、個人の債務整理の中で、究極の個人経済再建策です。
個人破産 = 一巻の終わり
ではありません
終わりどころか、人生の経済的再スタートが切れる最終兵器と言ってもいいでしょう。「個人破産」というと、世間ではもう終わりといった印象がありますが、それは当然です。金銭の貸借関係には利害関係人が多く、そのステークホルダーにとって、破産程迷惑な事は無いからです。その意味で、個人は、特に世の中に流されず、自身の頭で物事を考え、自身にとって最善の方策を執るべきなのです。
法律は、お金の問題で人生に支障を来たすのなら、そのお金の問題を人生から切離し、一度しかない人の人生をできるだけ有意義なものしたいと考えています。それは、お金は道具でしかなく、人の人生はプライスレスだからです。
●個人破産のデメリット
住宅ローン延滞による任意売却後に個人破産をすると次のようなデメリットが有ります。
▼特殊な資格等の職業に対する欠格事由
個人破産をすると従前の資格が取消される職種が有ります。例えば、警備員、生命保険募集人、宅地建物取引士等です。ご自身の職業が個人破産による欠格事由に該当するかを確認が必要です。また、会社取締役も個人破産手続開始時に会社と役員との委任契約が終了します。この場合、会社取締役の欠格事由に破産者は規定されていないため、会社の取締役が引き続き就任するためには、株主総会等で改めてその取締役を選任べき事となります。また、破産手続が終了し、復権がなされれば、再度の登録等により資格による業務が可能になります。
▼官報公告に掲載
破産手続開始決定があった場合、平日発行の官報に掲載されます。しかし、この官報を購入した人は一般には殆どいません。購読している人は少ないでしょう。近年は官報公告をインターネットで公開していますが、法律等の条文の改正情報を除き、直近1カ月のもののみで、バックナンバーが全て掲載されるわけではありません。一定期間の有料購読契約をしている場合は、過去のアーカイブを全て見る事ができますが、破産情報のみでプライバシーとの関係で破産手続開始決定を発令された人の個人名は見る事が出来ないようになっています。
つまり、破産広告で自身の破産の事実が世の中に知れ渡る事は、余程の有名人でない限りないでしょう。
▼保証人への影響
個人破産をした場合、その債務に保証人や連帯保証人が付いている場合、その保証人に請求が行く場合がありますので、注意が必要です。
▼税金や国民健康保険料、刑事上の罰金等は免除対象外
個人破産をしても税金や国民健康保険料、刑事上の罰金等は免除の対象外です。住民税と国税の違いもあり、免除になる場合もありますが、原則としては免除にはならないでしょう。
●個人破産と誤解
個人破産の場合、デメリットがありますが、 その中で、一定期間カード等での借入れができなくなる、つまり、クレジットカードが使用できなくなったり、新たにカードを作成できなくなる等の問題を感じている方も多いと思います。
しかし、今問題にしているのは、住宅ローン破産です。つまり、債務者は住宅ローンの延滞やカードによる支払いが既に滞っている事態になっていますので、個人破産によって新たに生じる問題ではない事を誤解のないようにして下さい。
●任意売却から個人破産への連携判断
このように、任意売却スキームと個人破産スキームを連結させる組立ては、任意売却から個人破産への連携判断としてとても重要です。何故なら、任意売却スキームには全債権者の同意が絶対的に必要です。更に、個人破産スキームでは、破産申立人の負担を最小限にする必要があるからです。
任意売却に関係する債権者には、任意売却スキーム自体に難色を示す債権者も想定され、また個人破産申立人の個人破産後の経済的再建策とも相俟って、高度な法律判断が求められます。
戦略的対策の前提問題としては、任意売却での円満な解決と個人破産での有効策の立案がカギです。
この判断は、個別具体的に不動産任意売却を専門分野又は取扱分野としている法務事務所の司法書士が相談者の事情や希望を聴取しながら、相談者と共に判断し、決めていく事になります。
しかし、不可能ではありません。現にこの方法が実践されているのが現状です。問題は、債務者にとって理想的なスキームの構築にあります。
●初期段階の対応が全体の戦略策定に有効
債務者の経済的再建を果たすためには、まず任意売却をどのような形で終了させるかにあります。視点としては、任意売却から個人破産への円滑な手続きの移行を視野に入れたスキームの構築です。
そのためにも、任意売却や破産申立ての前に、住宅ローンで困難な状況になると予想できたら、任意売却及び破産手続を専門分野又は取扱分野としている法務事務所の司法書士にご相談される事が賢明です。
司法書士は、相談者の事情等を聴いて、個人経済再建法務として見通しが立つと判断した場合は、相談者からの依頼に応じ、基本的なスキームの構築と共に任意売却を専門分野又は取扱分野としている不動産仲介会社と連絡を取り、任意売却の買主を探すと共に、依頼者にとって最も有効な個人経済再建策を策定します。
いかがでしたでしょうか。
住宅ローン延滞を原因とする任意売却から個人破産への戦略的スキームは、通常行われている方法ですが、精度を高め、一連の手続きによる債務整理が完了した段階での、より良い着地点を探すには、高度な法律判断が伴ないます。
任意売却を円滑に進め、個人破産を短期間で終了させる戦略的スキームでは、入口である任意売却が重要になります。
相談者と任意売却を専門分野又な取扱分野としている司法書士(兼任意売却取扱主任者)との間で、戦略を立案し、任意売却を専門分野又は取扱分野としている不動産仲介業者や宅地建物取引士(兼任意売却取扱主任者)を交え、債務者の経済的再建を成功に導きます。
任意売却は、単に不動産売買だけの知識や経験だけでは不十分であり、債務整理といった大きな枠組みでの横断的な専門知識と経験が必要になります。
本当の専門実務家とは、1つの専門的知識だけを排他的に披露するのではなく、その分野での横断的な知識と経験を持ち、現実的な問題解決能力のある者をいいます。
住宅ローンでお困りの方は、任意売却を専門分野又は取扱分野としている法務事務所の司法書士にご相談下さい。
司法書士の助言があなたを守ります = ESCROW AGENT
自分自身を守るため 司法書士はあなた自身で選ばなければなりません
司法書士は不動産登記法務の専門家です。そして司法書士は公正な不動産取引きを通して、依頼者の権利を擁護する法律専門実務家です。
(2021年6月3日(木) リリース)
