ニュースレター2022 ❷ 民事信託法務
  
 
 

 
民 事 信 託 法 務
 
企 業 防 衛 目 的
 
事業経営型民事信託
 
基 礎 知 識
 
ーオーナー経営者の選択 最先端の企業防衛ー 
  
 
 
 
 ニュースレター2022の第2回民事信託法務は、オーナー経営者の企業防衛対策としての民事信託を取上げます。民事信託の利用事例の中では、福祉・相続法務の認知症による財産凍結問題対策としての民事信託と同じアプローチからの民事信託の利用方法になります。この民事信託につきましては、
 
 
「ニュースレター2021 ❸ 福祉・相続法務 福祉法務 認知症と財産凍結問題対策 入門-家族と共に考える福祉型家族民事信託-」
 
 
「ニュースレター2021 ❻ 福祉・相続法務 福祉法務 資産凍結回避目的福祉型民事信託 基礎知識-資産凍結を回避し 自分の資産と家族の生活を守る-」
 
 
をご覧下さい。入門編は現在の民事信託の意義や必要性について、基礎知識編は具体的な設計事例をお示ししてイメージし易く解説し、いずれも初心者でも解り易く掲載していますので是非ご覧下さい。
 
 上記の通り、福祉法務に関するニュースレターにて入門編と基礎知識編は既に掲載していますので、企業防衛目的の事業経営型民事信託の基本的な考え方である入門編は省略します。ただ、今回はこの基礎知識編の中でも入門編的な内容は掲載しますので、御安心下さい。
 
 現代の超高齢社会の中で企業の存続を考えた時、まず浮かぶのは企業創設者が万が一精神上の障害、例えば認知症で判断能力を失った時や他の病気で入院生活を余儀なくする事になった時の自社が陥る困難な問題です。
 
 その昔は、人間の日常を考えた時、健康であった期間に比べ、精神疾患等の生活に支障を伴う期間がさほど長くなく、あまり問題となりませんでした。しかし、今は昔と違い「健康寿命」という言葉に象徴されるように健康である期間の後に何らかの疾患を持って生活をする期間が長くなってきました。この疾患を持った期間は、人間の寿命が延び、また医学の向上で生活習慣を気を付ける事で平穏に暮らしていけるようになり、現代社会では4人に1人が高齢者となっています。これがいわゆる「高齢化社会」です。
 
 
健康であった期間の後に
 
何らかの疾患を持って生活する期間が長くなった
 
 
これがいわゆる
 
「高齢化社会」
 
 
 
 高齢化社会は、本来大変明るい社会です。人々は、元気に働ける期間が延び、社会に関与でき、自身の自己実現ができる人生で、60歳代や70歳代も今ではまだまだ楽しく仕事ができる有意義な時代になりました。
 
 しかし、それは喜んでばかりもいられなかったのです。身体が健康でも精神状態に支障を来たす人々が現れ始めたのです。その病は、その昔では想定できないこの時代独特の問題を惹き起こすことが判ってきました。そうです、それが「認知症問題」です。
 
 
「高齢化社会」
 
この時代独特の問題
 
それが「認知症問題」です
 
 
 認知症は、誰にでも起こる精神上の障害であり、この認知症により社会生活が殆どできない状況にまで進行してしまう人も少なくありません。福祉・相続法務のニュースレター2021では、そんな認知症になった時の問題を明らかにし、その対策の重要性について解説しましたが、今回のニュースレターでは、その認知症等になった方が企業のオーナー経営者であった場合の問題です。
 
 私達は、法律で規定された社会で、互いに問題が生じないように関係を持って社会に関与していますが、その原理は私達の憲法が根本原理とする自由主義から導かれる「個人の尊重」に立脚しています。「個人の尊重」といっても何の事か解り辛いですが、これはある言葉が省略されていると理解すると解り易いでしょう。それは「自由」「意思」という概念です。この言葉を補って表現すると「個人の自由の尊重」「個人の意思の尊重」というフレーズになり、何を言いたいのか、この社会は何を大切にしているのかが浮かび上がってきます。個人がどのように考え、どのように意思決定するか、国家が介入せず、その自由が保障されているという事です。
 
 非常に優れた理念ですが、しかしそれは逆に言うと、個人が意思決定出来ない状況では、「個人の意思」というものが弱まり、又は喪失した状態をどのように考えたらいいのでしょうか。それは相手との会話や約束が果たせず、色々な場面で支障を来たす事になっていきます。勿論、法律的な行為は殆ど全く出来なくなってしまい、売買や賃貸等の契約行為や銀行口座取引き、銀行融資等は有効に行う事が出来ません。
 
 
「個人の尊重」理念の下では
 
誰も代わりに対処してくれない
 
 
 オーナー経営者の皆さんは、自身の事だけ考えているわけではないと思います。自身の健康状態により、会社の経営上の意思決定や売上げ、利益、経営の将来構想、従業員に対する給与の支払い、株式配当等様々な面で周りの大勢の人達に影響してしまいます。
 
 そのような問題に対し、これまで有効な対策がありませんでした。そんな中、我が国初となる1922年(大正11年)4月20日に制定(裁可)された旧信託法が84年ぶりとなる2006年(平成18年)12月8日に大改正され、2006年12月15日に公布、翌年の2007年(平成19年)9月30日に一部の規定を除き期待を込めて施行されたのです。この法技術は、日本の将来の高齢化社会を前に欧米での利用事例を参考に日本でも立法された新信託法であり、その立法内容は、それまでの法律的常識を超える画期的なものでした。そして現在まで、徐々に国民に知られ始めています。
 
 信託法は、様々な利用方法があります。最もポピュラーな利用方法が福祉型民事信託であり、その次が資産管理型民事信託です。そして、現代では超高齢社会を背景に企業にも民事信託の利用が進み、今回取上げる利用方法は事業経営型民事信託の中の最もポピュラーな利用方法の1つである、オーナー経営者のための問題解決策としての「民事信託」なのです。この福祉型民事信託や資産管理型民事信託、事業経営型民事信託は、民事信託として実績が多く、その分社会的な信頼性もある民事信託になります。この最先端の法技術である民事信託を利用する事により、今まで実現できなかった事が可能になる、経営者の願いが叶う画期的な法技術、それが民事信託なのです。
 
 今、自身が病に陥る事は想像ができない事かもしれません。そうです、それは皆が感じている事だと思います。しかし、そんな時に運命の悪戯は起きます。健康が害されてからでは遅いのです。生命保険や入院保険、更に地震保険といった万が一のための、更には精神的安定のためにする対処と同じで、あなたにもしものことが起きた時の保険として、この民事信託を是非お考えになってはいかがでしょうか。けして損な事ではありません。そして何かが起きてからでは遅過ぎるのです。
 
 今回取上げるのは、中小企業のオーナー経営者の為の企業防衛を目的にする事業経営型民事信託で、委託者の家族が受託者や受益者となる企業防衛目的事業経営型家族民事信託です。
 
 
 
 
自分を守るのは 自分しかない
 
 
 
 
 尚、このニュースレターで使用される用語は様々ですが、民事信託を体系的に整理し、その全貌を明らかにすると共に個々の民事信託に視点を当て、理解し易いものにする為、特に民事信託に関して使われる用語は、当法務事務所固有の名称等であり、一般的に使用されている用語ではない事を予めお断りしておきます。
 
 また、<発展知識>は、より深い知識に関する記載です。基礎知識に関連して記述していますので、関心の有る方だけご覧下さい。
 
 このニュースレターでは、出来るだけ法律用語や専門用語を避け、日常用語で解説していき、一般の皆様にも解り易い内容とする事を心掛けています。本来難解な法律問題、特に民事信託を少しでも身近に感じて頂ければ幸いです。
 
 
 
 それでは、最先端の企業防衛、民事信託の利用について要説を解説していきましょう。
 
 
 
 
 
 

<CONTENTS> 
 
 
 
経営者のトラップ(落とし穴)
 
 
■法定後見制度と任意後見制度
 
 
■一般的な認知症対策
 
 
■企業防衛の為の認知症対策 
 
 
■任意後見制度と民事信託の併用の有効性
 
 
■民事信託法務と司法書士の親和性
 
 
■民事信託の優位性
 
 
■民事信託の意義
 
 
事業経営型民事信託の類型
 
 
■企業防衛目的事業経営型民事信託の代表的設計事例
 
 【事例】
 
 【本件事件の法律的解決策】
 
■企業防衛目的事業経営型家族民事信託の
 
 設計スキーム 
 
 
 
 
 
 
■経営者のトラップ(落とし穴)
 
 
 
●経営の困難性→経営者が認知症になると契約行為が出来なくなる
 
 中小企業の経営者は、自身の会社に個人資産を投入している事が殆どです。その経営者の個人資産、例えば不動産を担保に事業資金の融資を受ける時は、その不動産の所有者である経営者の意思決定が必要になります。
 
 しかし、経営者自身が精神上の障害である認知症になっていた場合、金融機関は取引を停止し、有効な担保権設定契約は出来ません。
 
 
 
●事業承継不能→自社株や事業用不動産の後継者への引継ぎが困難となる。
 
 事業承継をするためには、経営者の所有している株式を後継者に引継がなければなりません。
 
 しかし、この場合も経営者に認知症による判断能力が低下又は喪失していると、その株式を生前贈与する事も遺言で相続させる事や遺贈する事も出来なくなってしまいます。
 
 
 
●経営上の決定が不可能→役員人事等が出来なくなる
 
 役員人事では、会社の役員には任期があります。
 
 しかし、100%の株式を保有している経営者の判断能力の低下等により十分な意思決定も、また法律的にも株主総会で議決権を有効に行使する事が出来なくなります。つまり、会社に取締役が不存在になってします危険性があるのです。
 
 
 
 
■法定後見制度と任意後見制度
 
 
 
 超高齢社会の中で、個人が認知症等の精神上の障害により判断能力が低下した場合、その個人は実社会の中で満足に暮らしていけない状況に陥ります。日本政府は、来るべくこの国の超高齢社会での人々の暮らしを考えたとき、この人々の生活を支障が無いように手立てを講じなければならなくなりました。
 
 その法制度が法定後見制度と任意後見制度です。この二つの制度の違いは次の通りです。
 
 
 
●法定後見制度とは
 
 法定後見制度(成年後見制度といいますが、このニュースレターでは、任意後見制度と区別する為「法定後見制度」という事にします。)は、本人が自身が認知症等になった後の意思を表示しないまま判断能力が低下した場合に、本人、配偶者、四親等内の親族等の請求により、事後的に本人の代理人(本人の判断能力の程度により、成年後見人、保佐人、補助人が選任されます。以下、「法定後見人等」といいます。現時点では成年後見人の選任が殆どなので、特に断りが無い場合は法定後見人(成年後見人)を想定して解説します。)を家庭裁判所が選任する制度です。一旦法定後見制度を利用すると基本的に途中で終了させる事が出来ず、本人の死亡により終了します。
 
 法定後見人には、大きく分けて2つの法律上の業務があります。一つは財産管理。もう一つが身上保護です。法定後見人はこの2つの法定後見業務を本人の代理人として行うのです。
 
 法定後見人は、選任されると、まず最初に、本人の財産や収入を把握し、医療費や税金等の決まった支出を見積もります。その上で、中長期的な見通しに立って、医療看護の計画と収支の予定を立てます。これが、法定後見人の「財産管理業務」です。
 
 そして、家庭裁判所の管理の下、必要に応じて、本人の為に、介護サービス利用契約、診療契約、施設の入退所契約等の法律上の行為(法律行為)を行います。ここで注意が必要ですが、法定後見人は法律上の行為を本人に代わって行うのであり、介護行為や親族と同様の関係で日常的に本人に接するわけではありません。例えば、介護行為や本人に対する親族と同じ行為は「本人の代理人」には出来ない事です。あくまでも、本人が行う事を代わって行うのが法定後見制度における法定後見人なのです。
 
 
法定後見人は
 
介護行為や親族と同様の関係で日常的に本人に接するわけではない
 
介護行為や本人に対する親族と同様の行為は
 
「本人の代理人」には出来ない
 
 
あくまでも
 
本人が行う事を代わって行うのが法定後見人
 
 
 法定後見人は、自身の財産を他人の財産と混在させたりしないように注意しつつ、本人のために財産を管理します。適切な管理を行うために、収入や支出についてきちんと金銭出納帳に記録し、領収書等の資料を保管しておきます。
 
 その財産管理に基づき、日々の介護利用サービス契約や診療契約、施設の入退所契約等を行うのです。これが法定後見人の「身上保護業務」です。
 
 代理権を用いた法律的支援が業務の中心であって、本人の介護や親族同様の関係といった事実上の業務は対象とはなりません。
 
 ここで、法定後見人が代理する本人の事を「被後見人」といいます。
 
 
 
●任意後見制度とは
 
 任意後見制度は、本人と本人が選んだ者との任意後見契約によって、本人が判断能力の低下する前に、事前に調えておく制度です。
 
 本人の生活、療養看護及び財産管理に関して付与された一定の代理権を用いて法律上の行為(法律行為)を遂行します。
 
 任意後見人には、任意後見契約発効時に任意後見監督人が家庭裁判所によって選任され、家庭裁判所は任意後見人を間接的に監督します。
 
 任意後見人も法定後見人同様に代理権を用いた法律的支援が業務の中心であって、本人の介護や親族同様の関係といった事実上の業務は対象とはなりません。
 
 
 
※<発展知識> 法定後見制度に対する福祉・行政サービスの方々の誤解~
 
 地域の福祉・行政サービスの方々は、非常に関心を持ってこの法定後見制度に参画しており、また意欲的に支援して下さっています。しかし、法定後見制度に対する地域の福祉・行政サービスの責任者や担当者の皆さんの一部に誤解が少なく有りません。それは、法定後見人は、本人である被後見人に常に寄り添い、一人ひとりの被後見人の性格を熟知し、その人の性格や考え方と一致した態度で接し、日々の後見業務を行わなければならないという誤解です。
 
 確かに法定後見制度は、認知症等で精神上の障害をお持ちの方に、健常者と同様の権利を保持し、この私的自治の原則に基づく自由で開かれた社会の中で、決して法律的不利益を被らないように、被後見人等を守る制度です。
 
 しかし、それは、認知症等の精神上の障害を持った方々の親族の代わりになり、ご本人の精神的困難を解消する為の制度ではありません。
 
 時にはご本人との意見の違いも有るでしょう。またご本人の家族との軋轢も実際少なく無い状況です。ご本人のその時々の考え方や思い、つまりご本人に対する意思決定支援や推定意思による本人の最善の利益に基づく法定後見人等の代理権限に基づく決定によって、本人に取って一番優先する法律的支援や法律的決定を行う事は、必ずしも、本人の思いと同じではない事もあるかもしれません。そして、ご本人の家族との関係でも、法定後見人の最終決定に対し、喜んでくれる方々もいれば、その反対に批判や非難をする人々もいます。 
 
 法定後見人等は、そのような状況を当然の前提として、専門資格者として憲法の理念に基づき、法令と自己の良心にのみに拘束され、誰からも支配される事無く独立して法律判断を行います。
 
 従って、ご本人との性格の不一致やその家族との考え方と違う態度の法定後見人は、その資質が無いとの曲解に対しては注意が必要です。一部の福祉・行政サーサービスの責任者や担当者のこの曲解が、一般の方々に間違った認識をさせてしまい、法定後見制度に対する反感の原因となっている事も無いとは言えないのです。
 
 我々法定後見制度を支える専門資格者も更に普及活動等をしていかなければなりませんが、福祉・行政サービスの責任者や担当者の皆さんは、法定後見制度を知って頂く為、一般の方々に対して、法定後見制度に対する正しい理解をして頂くよう更なる広報活動をする必要があります。
 
 尚、「代行決定」なる言葉が現在、議論上(口頭上)で使われていますが、この「代行決定」という言葉は、法律用語では有りません。恐らく、当初この法定後見制度を研究する際、ヨーロッパ等の諸外国に亘り、学んできた事柄の一つとして、直訳されたものだと推察しますが、日本の国内法には「代行決定」という概念は存在せず、どのような行為内容の法律用語であるのか、更にどのような法律効果が生じるのかは不明です。例えば成年後見人の場合、法定後見制度における最終決定は、広範な包括代理権が付与されている成年後見人(法定後見人)が行いますので、表現するとすれば「法定後見人の代理権限に基づく決定」になります事を付け加えさせて頂きます。法律用語や制度上の概念は、正しい言葉使いで表さなければ、ボタンの掛け違った結果を招きますのでくれぐれも注意が必要です。
 
 福祉・行政サービスの責任者や担当者の皆さんは、この法定後見制度に携わる前提として、最終決定である法定後見人等の判断には従うという心構えの基、参画して頂く事が必要です。そもそも最初から法定後見人等の判断には従う考えは無く、異論は最後迄持ち続けるという信念は、法定後見制度に対し、自身の考え方が最優先であるとするもので、法定後見制度に背く態度であり、この制度に参画する資格が無い事になります。もし自身が責任を持って最終的な法律判断をしたいという事であれば、是非、一般人に比べ、より高い専門知識を持って頂き、専門資格者として法律知識や法律実務等を修得して下さい。
 
 福祉・行政サービスの皆さんの大部分は、法定後見制度を正しく理解されている事と思います。現在、厚生労働省の成年後見制度利用促進専門家会議が開催され、有意義な議論がされています。いわゆる「中核機関」と言われている法定後見制度支援機関は、指令塔でもなければ、評価監督機関でもありません。福祉・行政サービスの責任者や担当者の皆さんは、是非、法定後見人等と力を合わせ、ご本人である被後見人等の為により良い制度にして行って欲しいと思います。
 
 
 
●法定後見制度と任意後見制度との違い(イメージ)
 
 法定後見制度と任意後見制度は、どちらが優先するのでしょうか。それは任意後見制度です。我が国は、個人の意思の尊重を最上位の理念としています。自身の選択が優先するのは当然の事です。
 
 
個人の意思の尊重は
 
この国の最高位の理念
 
 
 各制度の相互間の関係ですが、法定後見制度は事後、任意後見制度は事前であり、法定後見制度は、法律によって予め定まった事項が行われるのに対し、任意後見制度は、本人と本人の選んだ任意後見受任者との間で内容を任意に決められる契約で行われる事を鑑みれば、法定後見制度は最後の社会のセーフティーネットとして機能し、任意後見制度はその前段階での契約による自由が保持され、自己決定権を尊重した国民の自立した制度というイメージであるという事が言えるでしょう。
 
 このように法定後見制度は、高齢者が認知症発症に対する対策を講じていないときに、国家が本人の権利を擁護するものでありとても大切な制度です。しかし残念ながら、法定後見人に対する本人やそのご家族の不信感や法定後見制度自体の理解が進んでいない事もあり、現在、法定後見制度への批判が少なくない事も事実でしょう。
 
 法定後見制度は大切な制度です。この問題については、
 
 
「ニュースレター2021 ❺ 福祉・相続法務 福祉法務 法定後見制度 入門-超高齢社会を支える高齢者等のための最後のセーフティネット-」
 
 
で詳しく掲載していますので、法定後見制度についてお知りになりたい方は是非、ご覧下さい。
 
 
 
 
■一般的な認知症対策
 
 
 
 一般に、ある個人の判断能力が低下した場合に備えて、財産管理委任契約をする事があります。
 
 また、既に判断能力が低下又は喪失した後では、法定後見制度の利用も想定されます。
 
 
●財産管理委任契約締結→通常(私的)の委任契約には限界がある。
 
 例えばこの契約で、委任者を経営者、受任者を後継者等として委任契約を締結したとします。この場合、後継者が現経営者の実力を備えていれば問題ないかもしれませんが、通常は、現経営者の指導の下、会社の経営に関与する事になるのが普通かと思います。
 
 その場合、委任者である現経営者の判断能力が低下してしまった場合、委任契約上、誰が受任者である後継者を管理する事ができるでしょうか。また、銀行取引きでは、特に高額な口座取引や融資取付けについては、必ず本人確認が要求されますので、受任者としては経営者本人の行為が必要になります。この時、その経営者に判断能力が無い状況ですと、その段階から銀行取引きは凍結されてしまいます。
 
 
●法定後見制度の利用→公的機関の関与により返って使い勝手の悪い状況に
 
 法定後見制度は、必ず法定後見人を監督する公的機関である裁判所が関与します。そして、法定後見制度を選択せざるを得なかったご本人やそのご家族が一番後悔する事は、残念ながらこの法定後見人の存在です。
 
 法定後見制度は、本人が判断能力が低下した後に配偶者や四親等内の親族が裁判所に申立て、裁判所が本人のために選任する本人の法定代理人です。その目的は、本人の判断能力が低下した後においても、この超高齢社会を支障なく生活していけるようにと創設されたとても有効な制度でした。
 
 しかし、実際法定後見制度を利用してみると、「本人を守るための制度」という位置付けから、本人の財産管理がとても厳しくなり、自宅の修繕さえ、4社以上の工務店から見積もりを取り、しかも裁判所に上申書を書くよう法定後見人からその家族に依頼されたケースもあったとの事で、そのご家族は「何故、自分の住んでいる家の修繕がこんなに手間と労力が掛かるのか」と困惑していました。
 
 法定後見制度は、家族の知らない第三者、例えば司法書士や弁護士等が法定代理人に選任され、本人の財産を慎重に管理しますが、その反面、家族からしたら第三者に自分達の財産が管理されているようで、とても息苦しい思いを感じているといった状況が少なくなく、残念ながら現在ではとても評判が悪い制度になってしまっています。
 
 他にもそのような法定後見制度によって選任された法定後見人は専門職資格者であるので当然ですが、毎月報酬を支払わなければならない事や、また一旦法定後見制度を利用したら、その制度を終了させる事が事実上出来ない等様々な問題がこの制度には内在しています。
 
 そこで、注目を浴びたのが民事信託でした。この民事信託は、そのスキーム上、裁判所等の公的機関が一切関与せず、このスキームを終了させようと考えた場合は、当事者の合意や終了事由を民事信託契約書で決めておく等柔軟に設計でき、基本的にいつでも終了させられます。そのため、本人やそのご家族にとってとても画期的な法技術なのです。
 
 
 
●法定後見制度の限界→経営とは親和性が無い
 
 
 会社役員は成年後見人若しくは保佐人が選任されると退任しなければなりません。 
 
 法定後見制度では、常に家庭裁判所がその法定後見人の監督を行い、法定後見人は家庭裁判所の監督の下、本人にとって不利益の無い行為を行います。
 
 しかし、例えば本人である前経営者の個人資産、例えば不動産を会社のために担保に供するといった場面では、本人所有の不動産を失う危険があり、とても法定後見人が承認するとは考えられず、更に本人とその本人が経営する会社との利益相反行為が問題となり、法定後見人は、その担保権設定契約には署名押印はしないでしょう。そもそも、担保権の設定契約は、本人の生活のために必要な行為ではないので、法定後見制度の趣旨に反するというのがその理由です。
 
 また、会社役員は、その責任により一般人より高度な判断が求められるため、法律上、成年後見人や保佐人が選任された場合は、会社役員を退任しなければなりません。
 
 つまり、会社創立者の判断能力が低下した場合、その地位の退任を迫られ、更に個人資産をその会社のために利用できなくなってしまう個人のロックダウンが生じる事態に陥るのです。
 
 
法定後見制度は
 
経営者個人のロックダウン
 
の危険性
 
 
 
 勿論、会社代表者の法定代理人である法定後見人は、会社代表者に代わり経営も行います。しかし、法定後見制度により選任された法定後見人は、会社経営の専門家ではありません。会社経営をその法定後見人に委ねる事は出来ないのです。
 
 
 
■企業防衛の為の認知症対策
 
 
 
●任意後見制度の有用性
 
 そこで、活躍するのが任意後見制度です。この制度は、本人と本人が選んだ任意後見人となる人との委任契約で行いますので、裁判所の関与は緩和され、法定後見制度のように誰が本人の代理人(法定後見人)になるかは判らないといった問題も起きません。
 
 この任意後見人は、本人の判断能力が低下した段階から開始しますが、この委任契約が発効するタイミングは、任意後見人を監督する任意後見監督人を家庭裁判所が選任した時です。
 
 つまり、この任意後見制度でも公的な機関である裁判所の関与はありますが、法定後見制度のように、全くそれまで知らない他人が本人の代理人になるのではなく、本人が選んだ者、例えば本人の子供等を任意後見人に出来ますので、この点、法定後見制度よりは本人やその家族にとっては格段に有用性が増すでしょう。
 
 任意後見制度は、本人の日常の法律的な支援に適しており、本人が行う各種法律行為の代理を行う事により本人をサポートします。
 
 
任意後見制度は
 
個人の尊重理念に照らし
 
法定後見制度より優れている
 
 
 
●民事信託の有用性
 
 民事信託は、必ず委託者、受託者、受益者の三者が登場します。信託スキームは様々ですが、例えば現経営者を委託者、その後継者である長男を受託者、現経営者を受益者として設計し、信託目的を会社経営、会社所有の不動産等の運用として、民事信託契約を締結します。この際、オプションとして「指図権」条項を規定しておけば、信託法上、会社の経営権は後継者である長男に移転しますが、その長男がする経営判断に現経営者が指示(命令)する事ができるので、長男が一人前の経営ができるまで、更に父親である現経営者が実権を持つ事が出来るようになります。
 
 また、中小企業のオーナー経営者名義の個人資産を会社の債務の担保として設定する場合も、オーナー経営者に万が一の時、受託者である不動産名義人が適切に担保設定契約を行いますので、事業計画が頓挫したり、障害になる心配はありません。
 
 このように、民事信託は会社経営上、優れた効果を発揮します。
 
 
民事信託は
 
現行法上の制約を補完する
 
画期的な法技術
 
 
 
 
■任意後見制度と民事信託の併用の有効性
 
 
 
 任意後見制度と民事信託の特長を考慮した場合、一番適切な利用の仕方は、両方を併用するスキームです。このスキームは、現在において、一番多く利用されている形態で、その分信頼性も大変高く、最先端の対策といっていいでしょう。
 
 
 
●任意後見制度の有効性→第三者ではない本人の選んだ者が本人の代理人になる
 
 任意後見制度では、本人の判断能力がまだ低下していない段階に任意後見人として本人が選んだ者と公正証書によって任意後見契約を締結する事に始まります。
 
 そして、この任意後見制度では、どのような代理行為を任意後見人が行うかについて、予め契約内容として本人と決めておきます。そして、その範囲の行為について任意後見人は本人の為に代理人として法律上の行為を行います。
 
 従って、本人の生活の法律的な支え、例えば、医療費や介護費用の支払い、各種行政機関の手続き等の日常的な生活場面での行為は任意後見制度を利用するのが最適です。
 
 
医療費や介護費用の支払い、各種行政機関の手続等の
 
日常的生活場面での行為は
 
任意後見制度の利用が最適
 
 
 
●民事信託の有効性→民事信託契約において本人の特定の資産管理等の方針を決めておけばその受託者が自律的に本人のために行為をする
 
 民事信託は資産管理及び財産承継を目的とした本人の為の契約です。つまり、一般的に委任契約では契約上、どのような行為を行う契約かを明らかにしておかなければ後日認識の相違等で齟齬を来しますが、この民事信託は契約の中で信託目的という方針を決めておけば、後はその目的に従って委託者(本人)の為だけに受託者が行為をしますので本人に特段の関与は発生しません。
 
 そして、本人と会社という別人格の場合も、信託財産を株式として、例えば、後継者である自分の長男を受託者としておけば、現経営者である父親の保有している株式を受託者である長男が現経営者が認知症により判断能力を失っても、後継の社長に就任する事が可能になります。
 
 受託者(長男)は委託者(本人)の委託を受けて、会社の経営業務を問題無く遂行させる事ができるのです。
 
 従って、本人の不動産や株式等の特定の資産は民事信託で管理するのが最適です。
 
 
経営者個人の特定の資産は
 
民事信託で管理する事が最適
 
 
 
 
■民事信託法務と司法書士の親和性
 
 
 
 では何故、司法書士が民事信託を取扱分野としている事が多いのでしょうか。それは、司法書士は不動産登記法務の専門家だからです。不動産は代表的でしかも高額な重要財産であり金融資産です。民事信託を利用する方々の多くは、居住用建物や土地、または資産活用でのアパート等を所有している方が殆どです。そのため、他の弁護士や行政書士、税理士等の各専門職資格者よりも取扱いに慣れているという点があります。そのため、民事信託を取扱分野としている法律専門資格者の中では最も司法書士が多いでしょう。
 
 
 
●司法書士は法律専門実務家→法律専門実務家と他の専門職資格者との違い
 
 この任意後見制度や民事信託は、人の人権に関わる問題になります。司法書士の使命は、国民の権利を擁護し、自由で公正な社会の実現に寄与する事です。つまり、人の高齢化に伴う様々な判断は、単に損得勘定やその時々の情緒といったものではなく全て人権を前提にして考えなければならないのです。
 
 その意味で、任意後見制度や民事信託の利用の際は、憲法上の理解が深いその判断を大きく間違わない法律家の視点が最も大事になります。その意味で、法律専門資格者にご相談される事を強くお勧めします。
 
 人権擁護を専門分野としてる予防法務系や事件系の司法書士は、法律専門資格者として、憲法の理念に基づき、法令と自身の良心にのみに拘束され、誰からも支配される事無く、依頼者の事を第一に考えて法律判断を行います
 
 これは、多数決や最大公約数といった決定によっても奪う事が出来ない人権を擁護する立場を、憲法の理念に基づき、誰からも支配される事無く、独立して行使出来るからです。
 
 
 
●司法書士の取扱分野→弁護士との違い
 
 司法書士と弁護士では何が違うかとの疑問を持たれる方も少なくないと思います。実際、司法書士と弁護士の業務は重なり合う事が多いです。敢えて説明するとすれば、次のようになるでしょう。
 
 特徴としては、司法書士は、日常の法律問題に関与する事が多く、弁護士は法律的紛争時にその問題の解決のために関与する事が多いと言えるでしょう。
 
 弁護士は、一般的に法律問題に関与し、各々専門分野も持っていますが、主に、法律事件の後に登場し、依頼者の権利を擁護します。つまり、法律的紛争を前提に日常的な仕事をしている訴訟法務の法律専門資格者です
 
 これに対し、司法書士は法律的紛争の無い当事者の法律問題を安全に整える為に法律実務をし、また少額の日常的紛争の解決も行います。
 
 法律分野からは簡単に言って、実体法を前提に、司法書士の取扱分野は広く、様々な法律問題に亘り、各々専門分野を持っていますが、主に取扱分野としては登記法務や民事訴訟法務、また依頼者の財産管理業務を取扱っています。
 
 これに対し、弁護士も様々な法律分野を取扱っており、その得意分野も多種多様ですが、実体法を前提に、その中でも訴訟法の専門家として基本は訴訟法務であると言っていいでしょう。
 
 超高齢社会での安全な個人の社会生活を支える法律専門資格者は、どちたが適しているかはその事情により異なりますが、この認知症等における司法書士の実績は多く、専門資格者では最もポピュラーである事は世の中に知られているところであると思います。
 
 
 
 
■民事信託の優位性
 
 
 
 ここで民事信託の特長をご紹介します。
 
 
●民事信託の法制度補完効果
 
 民事信託法制度補完効果とは、人の生前に機能し、能力を発揮する現在の法制度を補完する機能の事です。民事信託には、現行の法制度だけでは不十分な部分を補完して十分な能力を発揮させる機能があります。
 
 
●民事信託の法制度超越効果
 
 民事信託法制度超越効果とは、人の死後に機能し、能力を発揮するそれまでの法制度を超える機能です。民事信託には、現行の法制度を十分に適用しても限界が有り、その限界を超える新たな能力を発揮させるための機能があります。
 
 
 この2つの効果を併合して一つのスキームとして設計する事も勿論可能です。
 
 
 
 
■民事信託の意義
 
 
 
●民事信託の本質→信じて託す愛情のカタチ
 
 民事信託の本質的内容は、自身の大切な人のために、信頼する人間に自身の資産を託す。そして、託された人間は、託した人の大切な人の為だけに託された資産を管理・処分する権限が与えられる、といった事が言えるでしょう。
 
 端的に言って
 
 私の大切な人のために あなたに私の財産を託すので 私の大切な人の事を宜しく頼みます
 
 という構造です。
 
 そしてその本質は、「信頼」「愛情」です。
 
 
 
●民事信託のスキーム→委任者、受託者、受益者等
 
 民事信託は、必ず次の三者が登場します。
 
 委託者は、自身の資産を託す人。
 受託者は、委託者から財産を託される委託者にとって誰よりも信頼できる人。
 受益者は、委託者の財産によって受託者が守る委託者にとってとても大切な人。
 
 民事信託は、財産を管理する新しい仕組みであり、委託者が受託者に資産を譲渡(信託譲渡)し、譲渡後は資産の管理や処分を自身(委託者)では行わず、資産を託された受託者の判断に任せる方法です。
 
 この関係を基礎に、委託者の願いを叶えるように民事信託のスキームを設計します。
 
 この意味でも解るとおり、民事信託の設計スキームは依頼者の事情により異なり、どれ一つとっても全く同じスキームは無い事になります。逆に言うと、依頼者のご希望通りの設計スキームが可能であると言えるのです。
 
 
 
 
■事業経営型民事信託の類型
 
 
 
 
 主な事業経営型の民事信託の類型です。 
 
 
 
●企業防衛目的事業経営型民事信託(Ex.事業用不動産民事信託)
 
 今回のニュースレターでご紹介している民事信託です。会社創立者である経営者が認知症により判断能力が低下したとき、会社のために活用している個人資産が凍結してしまいます。
 
 このようば事態を避けるため、会社経営者の個人資産を家族、例えば後継者である長男に信託します。この受託者は、次期経営者であってもその他の家族であっても構いません。
 
 つまり、信託スキームは、委託者が現経営者、受託者が長男、受益者はその不動産から利益を得る現経営者として設計します。この委託者の家族が受託者や受益者となる民事信託を特に家族民事信託といいます。そして、この委託者と受益者が同じスキームを自益信託と言います。
 
 この企業防衛目的家族民事信託により、現経営者が認知症になり判断能力が低下しても、不動産の管理・処分は長男が行いますので、現経営者個人の不動産の会社経営への支障が無くなります。
 
 尚、この場合、現経営者は認知症により判断能力が低下していますので、会社経営者として支障を来たします。そのため、企業防衛目的事業経営型家族民事信託と同時に経営者個人のために任意後見契約を締結しておく事が必要になります。
 
 任意後見人は、例えば次男でも構いません。任意後見人は、任意後見契約に基づき、経営者である父親の財産や日常生活の法律手続きを代理して行い、父親の生活に支障無くその任務を遂行しますが、任意後見監督人が監督し、家庭裁判所が次男である任意後見人の行為を任意後見監督人を介して間接的に管理します。そのため、特定の資産の管理は、公的機関の関与が無く、特定の資産の管理を目的とする民事信託が最も適している事になります。
 
 この民事信託のスキームは、企業防衛の典型的なスキームです。
 
 
●事業承継目的事業経営型民事信託(Ex.自社株式信託)
 
 近年、社会的なコンプライアンス重視が高まり、判断能力が低下した人の財産は、家族といえども管理及び処分することが許されなくなりました。
 
 このような背景の中で、経営者が判断能力を失った時の対策として、個人資産や会社の保有株式の運用や処分について、事前に対策しておく事が増えています。
 
 この問題は、遺言では解決が付きません。例えば、判断能力がある時期に遺言を残しても、その後亡くなるまでの間に判断能力が低下した場合、その時点で会社の経営は暗礁に乗り上がるからです。問題は、意思能力がある時期から判断能力が低下又は喪失するまでは問題ないですが、判断能力が低下した後から亡くなるまで困難な状態に陥る事になるという事です。
 
 また、事業承継では、会社創設者が亡くなって遺言が法律上の効力を生じた時点で、次期経営者に引継がれるため、次期経営者の育成期間や会社創設者と次期経営者との引継ぎ期間がありません
 
 そこで、経営者の保有株式を次期経営者に信託するのです。この事により、現経営者が認知症により判断能力を低下又は失っていても、株式は次期経営者が保有していますので、有効に議決権を行使できます。
 
 また、現経営者は、次期経営者に株式を信託しても、次期経営者はその株式の議決権の行使のみが許され、株式配当は現経営者が受け取れますので、株式配当では従来通り変わりはありません
 
 更に、次期経営者の経験では、会社の経営手腕が不十分であり懸念材料であっても心配いりません。現経営者に「指図権」を付与しておけば、その株式による議決権行使でさえも現経営者が判断出来るようになるのです。
 
 税務の面でも、現経営者から次期経営者へ株式を譲渡、つまり信託しますが、これは贈与ではありませんので、高額な贈与税も掛かりません。このスキームでは、節税効果もあるのです。
 
 このように、現経営者が生前に次期経営者に安全にバトンタッチできる仕組みがこの民事信託なのです。
 
 贈与でもできない事はないですが税務の問題があり、また遺言では現経営者が亡くなった後の対策は可能ですが、高齢化といった時代には不十分である問題が出てきました。これまでの一般的な方法である贈与や遺言では経営者の望む法律的解決はもはや不可能です。その解決策が最先端の法技術、民事信託であり、この問題解決機能が民事信託の法制度補完効果なのです。
 
 そして、この民事信託のスキームは、事業承継の典型的なものになります。
 
 
 尚、中小企業の事業承継対策としても民事信託は、既にこのニュースレターで掲載していますので、是非、ご覧下さい。
 
 
「ニュースレター2022 ➊ 民事信託法務 事業承継目的事業経営型民事信託 基礎知識 -後継者に適切に経営を譲りたい-」
 
 
 
 
企業防衛目的事業経営型民事託の代表的設計事例
 
 
 
 
 【事例】
 
 
 
●家族構成
 
 〇本人   A(75歳)
 
 〇妻    B(65歳)
  
 〇子供   C(35歳)※配偶者有り。子供有り。
  
 
 
●事案概要
 
 Aは、株式会社Zのオーナー経営者である。この時代は、事業承継が中小企業にとって大きな問題であるが、Aはまだ現役で経営者として変わり無く事業を取仕切っていきたいと思っている。子供は長男が一人いるが、実家を出てすでに結婚して、子供もおり、勤務している会社で生きがいを持って仕事をしていて、今すぐに株式会社Zの役員として仕事をさせる状況にも無かった。
 
 Aは、近頃、自身のスケジュールを忘れる事が増え、また、朝起きるのも昔のように行かず、疲れも取れない毎日を送っていた。健康診断では、高血圧や不整脈といった疾患も悪化しており、万が一の事を考えると不安になっていた。株式会社Zの経営は、最近良好で、手狭になってきた本社事務所をこの機会に近郊に移転し、事業の拡充を進める予定があった。Aは自分が病気で入退院を繰返したり認知症で判断能力を失った場合、本社事務所建築の為の融資に影響を及ぼす事はもとより、会社の経営に支障を来す恐れがあった。
 
 そんな中、民事信託という方法があり、A自身の問題や課題を解決出来る可能性があると聞いて、一度専門家に相談してみようと考えた。Aの想いは、仮に自分が健常者でなくなったときに、株式会社Zの経営や今後の計画に沿って本社事務所の建築に支障を来さない対策が欲しかった。そして、願わくば、会社の計画が困難に陥った場合、元の状態に会社を戻したいという都合のイイ考えも持っていた。しかし、Aは本当にそんな上手い方法が有るのか、用心深いAには半信半疑であった。
 
 
 
●背景事情
 
 株式会社Zの喫緊の課題はA名義の本社事務所の移転に伴う都内近郊の用地買収と本社ビルの建築であり、当面の問題は、現在の本社事務所の敷地建物を担保に銀行から移転及び建築費用の融資を受ける事であった。銀行の担当者の話しでは、担保設定者のAが認知症等で判断能力を喪失した場合は、担保権設定契約は不可能という説明を聞いていた。そのため、早く銀行との担保権設定契約を済ませ、融資を受けたいと思っていが、用地選定や銀行内の株式会社Zへの融資の決裁が下りない状況が続いていた。
 
 Aは、この大事な時に自分に何か有ったら大変な事になると心配るす日々が続いていた。株式会社Zの代表取締役としては、何が有っても経営を上手く行かせる必要が有り、現在はAに健康上の具体的な問題は無いが、経営者としては、従業員の事、顧客の事、取引先の事を考えると万が一に備えておかなければならないと思っていた。
  
 
 
●Aの想いや願いの問題点と民事信託の有効性
 
 
 Aの心配事は、担保権設定者であるAが認知症になった場合、本社ビル建築計画が頓挫してしまう事に有ります。また、代表取締役としてのAも、会社の業務執行が出来なくなり、その後、株式会社Zの経営問題に発展する事態となってしまうというものです。この問題をどう解決するか、法律上の問題として考えなければなりません。
 
 
▼Aの想いの現行法上の問題点
 
 まずAは、銀行との融資の為、本社事務所と敷地に担保権の設定契約しなければなりませんが、現時点で、本社ビル建築の為の用地選定に時間が掛かっています。その為、担保権設定契約時点迄まだ時間を要し、近い将来もしAに何か有った場合、融資を受ける事が出来なくなってしまいます。何故なら、担保権設定契約や融資契約は法律上の行為であり、Aが認知症になり判断能力を減退又は喪失し後は、法律上の行為は有効に出来なくなってしまうからです。
 
 しかし、AはA名義の本社事務所とその敷地の所有権を誰かに移転する事までは考えていません。何故なら、Aは現在少なくとも健康的であり、何かの疾患で経営が出来なくなってしまうという状況に実感は持てなかったからです。
 
 現行法上、本社事務所やその敷地の所有権を信用の置ける誰かに移転しなければ、所有権はその第三者のものになり、そして、この状態でAに何か有った場合、その対策は困難になる恐れもあります。
 
 
▼Aの願いの実現性と民事信託
 
 Aの心配は、万が一、自分に何か有ったらというものです。それは、会社の経営者としては、当然の懸念である事は誰もが理解出来る事でした。
 
 この万が一に対策出来るのが民事信託です。民事信託では、Aが法律上の所有権者としても利益を得られ、Aに万が一の事があっても、問題無く銀行との担保権設定契約や融資契約が可能となるのです。
 
 
 
●初回相談から事件依頼までの流れ概要
 
 A氏は、ホームページで検索して良さそうな法務事務所として司法書士 W法務事務所を見付けた。そこで、問合せフォームで事情を相談したところ、数日後、 司法書士 W法務事務所の司法書士Wから返信があり、一般的な回答であったが、Aの希望を叶えられる法律的方法が有る事、その方法は民事信託という方法である事が記載されていた。そこで、A氏は、法律相談の料金や本件の依頼料等概要を問合せ、その返信で確認した後、思い切って正式な予約を申込み、初回法律相談に臨む事にした。
 
 A氏は都心にある高級経営者倶楽部の会員であったので、その帰りに司法書士Wと会う約束にしていた。司法書士Wから、その経営者倶楽部の最寄りの駅付近に高層ビルがり、その最上階のカフェを提案されたので、そこに向かった。高速エレベータで最上階に着くと、フレンチや中華といった幾つかのレストランやバーが並ぶ中、Aは指定のカフェに入った。
 
 窓際の席には司法書士Wが既に到着していて、A氏に向かって手を挙げ、合図していた。A氏は事前のオンライン無料法律相談で、当日の服装を伝えていて、司法書士Wは直ぐにA氏と判ったのだった。A氏と司法書士Wは、互いに会釈をし、司法書士Wは司法書士の身分証明書を提示た。A氏が確認し、簡単な挨拶を交わすと、椅子に座った。A氏は相談料を支払い、司法書士Wは領収書を渡して、簡単な雑談の後、司法書士Wは、ここでのドリンク代はW法務事務所負担である事を告げ、A氏に飲物をオーダーするように勧めた。窓の外には、晴れ渡った星空と都心のイルミネーションが忙しい日常を一瞬忘れさせ、大きな窓の下には大都会のジオラマが広がっていた。
 
 コーヒーが出来上がると司法書士Wは、早速法律相談に入った。司法書士Wは、事情聴取後、解決策を提案した。A氏は、今回の法律相談は初めてであり、色々な法律用語も織り交ぜながらの司法書士Wの話に、不明点を率直に質問し、司法書士Wに実現可能か訊いてみた。司法書士Wは、Aの希望を現行制度である一般的な法律実務からの提案では、満足にいかせる事は難しいとの心象を得ていた。そこで、企業防衛目的の事業経営型家族民事信託を提案した。司法書士WはAの家族からも話を聴かなければならないが、基本的に希望は叶えられるのではないかと回答した。そこで、A氏は、司法書士Wに自分の事案を正式に依頼した。司法書士Wは、本事案を事件化する事に賛成し、喜んで本件事件を受任した。
 
 
 
●Aの財産
 
 〇自宅不動産
 
 〇株式会社Zの本社事務所及びその敷地
 
 〇自社発行株式全部(非公開会社、株券不発行)
 
 〇別荘
 
 〇自家用車 3台
 
 〇事業用車 1台
  
 〇預貯金
  
 〇生命保険
 
 〇有価証券(投資用)
 
 
 
  
 【本件事件の法律的解決策】
 
 
 
●本件事件の視点
 
 依頼者は、中小企業のオーナー経営者であり、万が一に備えて、本社事務所移転に伴う融資の為の対策を講ずる事件です。言ってみれば、企業経営に問題が生じた時に備え、万が一の為の保険を掛けておく企業防衛対策といってもイイでしょう。現行の法制度のみではこの問題を正面から解決する事は困難となります。
 
 現行の制度では不十分であり、その支障を解消して依頼者の想いや願いを実現させる為には、現行法制度を補完して、完全な能力を発揮させるための法律的対策が必要になります。
 
 民事信託には、法制度補完効果法制度超越効果の2種類の有効な効果があり、本件事件では、この2種類のうち、法制度補完効果を利用します。この事により、現行法制度では不十分な効果しか得られない状況を補完し、依頼者の希望に従って法律的に解決する事が出来ます。
 
 本件事件では、この問題を解決するために司法書士Wは企業防衛目的事業経営型家族民事信託を採用する事にしたのでした。
  
 
 
 
■企業防衛目的事業経営型家族民事信託の
 
 設計スキーム
 
 
 
●信託財産
 
 
▼株式会社Zの本社事務所及びその敷地
 
 
▼一定額の金銭 
 
 
 本件事件の場合、株式会社Z本社事務所及びその敷地を維持する為の経費用として一定額の金銭を信託財産とします。
 
 
 
●民事信託の当事者と民事信託の有効性
 
 
▼経営者であり株式会社Z本社事務所及びその敷地所有権者
 
 本人  A(75歳)=依頼者=委託者兼受益者
 
▼長男
 
 C(35歳)=受託者
 
 
 民事信託では、必ず委託者受託者受益者の3者が当事者となります。委託者とは自身の資産を信頼出来る者に信託譲渡して、委託者の最愛の人を委託者の決めた信託目的に従って守る当事者となります。そして、受託者はその委託者の信頼を基に信託された資産を委託者の最愛の人の為に信託目的に従って管理・運用する者です。最後に受益者とは、委託者にとって最愛の人であり、委託者の信託財産によって守られる人の事です。
 
 更に、民事信託にとって大切なのがある特定の信託資産です。
 
 民事信託の依頼内容は相談者の問題により一つとして同じものはありません。司法書士Wは、A氏の相談内容をどう解決し、A氏の想いや願いをどのようなスキームで実現するかを十分な時間を掛け、また何回ものA氏との協議やA氏の関係家族との会議や個別打合せを経て研究・検討しました。
 
 民事信託は、物を左から右に機械的に動かす法律実務ではありません。時間を掛け徐々に構築していく事が依頼者やそのご家族との信頼関係を醸成し、民事信託の設計内容への理解を深める事になります。
 
 そして、依頼者の相談内容にもよりますが、誰が委託者であり、誰を受託者とし、誰を受益者とするかは、依頼者の想いや願いをいかにして叶えるかという最大のテーマに基づき決定します。司法書士Wは思案の結果、本件事件では、依頼者A氏の相談内容から次のように設計しました。
  
 委託者は、信託資産の所有者になりますので、本件事件では株式会社Z本社事務所及びその敷地所有者である依頼者のA氏になります。
 
 受託者は、A氏の長男Cです。A氏は、やがては自身の大切な長男Cに株式会社Zの経営を譲りたいと思っていました。そして、長男Cは、A氏の子供であり、父親のA氏をけして裏切りません。A氏には自身の子供に会社の後継者となって欲しいという希望があり、Cもその期待に応えて承諾をしています。
 
 そして、本件事件の場合、信託財産はA氏所有の株式会社Z本社事務所及びその敷地であり、またその経費となる一定の金銭です。
 
 民事信託の利用により、A氏から長男Cへ株式会社Z本社事務所及びその敷地は信託譲渡により、A氏と株式会社Z本社事務所及びその敷地との所有関係が切断され、長男Cが株式会社Z及びその敷地の所有権者となります。今後の担保権設定契約は長男Cが行う事となります。株式会社Zと銀行との融資契約は、A氏に万が一の事が起きた場合、信頼できる専務に代表権を与え締結する事にします。
 
 ここで疑問に思われる方もいるかと思います。それは、
 
 
A氏の所有している株式会社Z本社事務所及びその敷地を
 
譲渡してしまうと
 
A氏はその所有権を失ってしまうのでは
 
 
 という事です。しかし、それは心配いりません。民事信託の誤解はココから発生していると言っても過言ではないでしょう。
 
 よく見て頂きたいのですが、この事例の説明で、「A氏から長男Cへ株式会社Z本社事務所及びその敷地を信託譲渡により、・・・」とありますね。この法律上の信託譲渡は単なる譲渡ではありません。所有権はその物を排他的・独占的に支配する権利です。一般法上、物を譲渡した場合、その物の所有権は譲渡された側に移り、誰の干渉もされる事無くその物を管理・処分出来ます。しかし、信託法上、物を「信託譲渡」した場合は、法律上、信託譲渡された者に一般法上の所有権、つまりその物を排他的・独占的に支配する権利は与えられません。受託者は、自分の好きなようにその物を管理・運用・処分する事は出来ないのです。受託者は、債務の本旨(民事信託により設計された内容という事。)である受益者の為だけにその物を所有(言ってみれば占有)しているので、信託の目的という制限が付いた所有権を取得しているに過ぎないのです。
 
 
「信託譲渡」では 受託者に一般法上の所有権は移転しない
 
 
言ってみれば受託者は信託資産を占有しているに過ぎない
 
 
これが民事信託の最大の特徴なのです
 
  
 例えば、受託者は信託譲渡された物の所有権を取得するとはいっても、それは受益者の為に信託資産を所有しているに過ぎない為、税務上も物の所有権移転に伴った取得に掛かる税金は課税されません。
 
 そしてこの結果、信託財産は委託者の所有物では無くなりますので、委託者の債権者がその信託財産を差押える事はできません。そして、信託財産の所有者である受託者の債権者は、信託財産を差押える事が出来るのかという問題がありますが、この場合も受託者の債権者は受託者の信託財産を差押える事は出来ないとされています。もし受託者が破産手続き開始決定を受けて破産したとしても信託財産は破産財団に属する事はありません。これは、受託者が自己の名義で信託財産の所有権を有しているとはいっても、その実体法上は受益者の為に信託財産を預かっている(言ってみれば占有している)に過ぎず、実質的に信託財産を所有しているわけではないからなのです。これが、民事信託の最大の特徴ともいえる信託譲渡の法律効果です。
 
 この民事信託の最大の特徴である「信託譲渡」の法律効果から、当然に受託者は自己固有の財産とは信託資産を区別して管理しなければならない事が導かれます。この受託者の信託資産の固有財産との区別した管理方法を民事信託の「分別管理」といいます。
 
 このように、信託財産は委託者や受託者の債権者からの差押えを回避する事ができます。この機能を民事信託の「倒産隔離機能」といいます。
 
 今度は受益者からの視点で解説します。受益者とは、受託者が管理運用する信託財産から利益を得る者です。受益者が信託財産から利益を得る権利を民事信託上「受益権」と言います。本件事件では、受益者を委託者のA氏にします。この事により、A氏は、自身が所有していた株式会社Z本社事務所及びその敷地から利益を得る権利を取得します。この委託者と受益者を同一人物とする信託スキームを「自益信託」といいます。自益信託で民事信託を設計すると、外形上、A氏所有の株式会社Z本社事務所及びその敷地が長男Cへと移転しているように見えますが、その実益、つまり株式会社Z本社事務所及びその敷地から受ける利益である賃借料等の受領権は依然としてA氏が保有している事になるので、A氏から長男Cへの株式会社Z本社事務所及びその敷地の譲渡に贈与税は発生しない事になるのです。この民事信託上の譲渡の事を「信託譲渡」といいます。
 
 このように、民事信託では、財産の譲渡、課税、権限といった取扱の点で、法律上、一般的な効果とは異なる事になり、現行の法制度の不十分なものを補完して、完全な能力を発揮させるための法律効果、つまり、民事信託の法制度補完効果を発揮させる事が出来るのです。
 
 
 
●民事信託の終了
 
 民事信託は、依頼者からの相談内容、当事者や関係者からの事情聴取、設計、締結、開始、管理処分、終了という変遷を辿り、完結します。
 
 本件事件では、A氏の経営する会社が計画する本社移転と本社ビル建築といった問題で、万が一、代表取締役であるA氏に健康上の問題、例えば認知症が発症した場合に備えて、保険を掛けるといった方法で解決する事により、A氏の希望を実現させる事が民事信託利用の目的でした。
 
 A氏は、現在、健康であり、元気です。しかし、高齢である事や大事な会社の経営計画がA氏に万が一の事が発生する事により頓挫してしまう危険があります。誰でも明日の事は判りません。会社経営者としては、ただ漫然と経営をしている事はできない筈です。ノープランのまま何もしなくても、問題は起きないかもしれません。生命保険や入院保険と同じです。万が一に備えて、A氏は最先端の法技術である民事信託を利用したのでした。
 
 A氏の心配であった本社ビルの建築が完了すれば、この民事信託の目的は達成され、民事信託はその役目を終える事になります。司法書士Wは、そのタイミングで委託者兼受益者A氏の判断でこの民事信託を終了させる事にしました。
 
 この終了時は、A氏から長男Cへ信託譲渡された株式会社Z本社事務所及びその敷地は、民事信託上、残余財産帰属権利者を委託者A氏として、委託者A氏へ帰属する設計としました。勿論、その段階でA氏が認知症を発症して判断能力が減退又は喪失しているのであれば、信託財産である株式会社Z本社事務所及びその敷地は将来の後継者である長男Cへ帰属する事とします。
 
 また、民事信託は委託者と受託者との契約の締結により成立します。つまり、契約行為なので、その契約内容に解除権発生の要件を規定しておけば、その要件が存在する時はいつでも解除ができる事になります。この法律作用を利用して、A氏が最後に懸念していた、もしこの計画が失敗した場合は、本社移転計画は支障を来す事になるため、元に戻したいという希望に基づき、A氏がこの本社ビル建築計画を中止したいと決定した際は、民事信託契約を解除して、元に戻す民事信託の「現状回復機能」という画期的なスキームがあるので、心配いりません。
 
 
 
 このようにして、A氏は、最終的に無事本社移転計画を完了する事に成功しました。
 
 
 
 
※この事例は、架空のものであり、実際の事件とは異なります。
 
 
 
 
 
 
 いかがでしたでしょうか。 
 
 
 今回取上げた民事信託のスキームは、オーナー経営者が最も利用する基本的でポピュラーなスキームです。そして、このスキームは、その分信頼性が高く、安全で有効です。
 
 
 この他にも、様々な民事信託の利用方法があります。このニュースレターで民事信託について知ってい頂き、是非、参考にして頂ければと思います。
 
 
 民事信託については、民事信託法務を専門分野又は取扱分野としている法務事務所の司法書士にご相談、ご依頼をして頂く事をお勧めします。
 
 
 
 民事信託の可能性は、まだまだ拡がります。
 
 
 
 
 
 
 
願いが叶う画期的な法技術 民事信託で明日への希望を
 
 
 
 
 
 
 
司法書士は、法律問題全般を扱う身近な暮らしの中の法律専門実務家です。 
 
 
 
(2022年2月1日(火) リリース)