【ニュースレター2021 ❸ 民事信託法務】
民 事 信 託 法 務
相続人連続指定目的
資産管理型民事信託
基 礎 知 識
ー相続人を次世代に亘って自分で決めたいー
ニュースレター2021の第3回民事信託法務は、これまでの入門編及び民事信託の利用方法を踏まえ(専門分野【ニュースレター福祉・相続法務】ページ参照)、資産管理型民事信託の基礎知識として実際の活用事例を取上げます。
我が国でも最も多い種類に福祉型家族民事信託がありました。この福祉型は、現在又は将来において、認知症等認知障害や精神障害、知的障害、身体障害、発達障害といった健康状態の人を対象として、その人の資産管理を適切に行う事にによって、本人や家族の生活基盤を安定させ、かつ相続やその後の諸手続き等を円滑にするための資産管理及び財産承継方法として民事信託を利用する種類でした。その意味で福祉型民事信託は、高齢者や障害者の権利を擁護したり、セーフティネットとして用意されている様々な法制度を補完する役割を担っていました(法制度補完効果)。
今回は、民事信託の利用方法で、福祉型家族民事信託に次いで多い種類の資産管理型民事信託についてです。 福祉型が現行の法制度を補完する消極的財産管理方法であるのに対し、資産家や中小企業経営者等が、もっと意欲的に利用し、次世代に確実に財産を承継させる等資産所有者が、現行の法制度を十分に適用しても達成できない想いや願いを実現するために利用する種類です。資産管理型は、現行の資産を管理する積極的な資産管理の役割を担っています(法制度超越効果)。
このニュースレターでは、民事信託の種類の中で、現行の法制度では達成できない資産所有者の想いが実り、願いが叶う民事信託の最大の機能である「相続人連続指定目的資産管理型家族民事信託」(受益者連続型民事信託)をテーマとします。
今回のこの民事信託は、家族間での資産の管理・財産の承継方法を民事信託を利用して達成しようとするものであり、その意味で民事信託の種類は資産管理型、設計は家族を主体とする民事信託の資産管理型家族民事信託な焦点を当てます。
様々な応用事例がある中、今回は最も基本的な事例を取上げます。資産所有者が亡くなった時を想定して、死後の相続人、そしてその相続人の相続人を連続して指定する事により、自分の資産を生前に自身が決めた通りに承継させる現行法では不可能な画期的利用形態です。
このニュースレターでは、前提知識として民事信託の体系的概要から解説を始める事とします。
尚、このニュースレターで使用される種々の用語は、一般的な用語の他は、当法務事務所固有の用語方法となっています事を予めご了承下さい。
この種類から、民事信託特有の特長である法制度超越効果が本格的に発揮される事になります。
<CONTENTS>
■民事信託の代表的な種類
■資産管理型民事信託の代表的設計事例
【事例】
【本件事件の法律的解決策】
■相続人連続指定目的資産管理型家族民事信託の設計スキーム
■民事信託と任意後見制度の連携
■民事信託の代表的な種類
民事信託には、様々の利用の仕方があります。いくつかの代表的な民事信託の種類を挙げましょう。
▼福祉型
現在又は将来において、認知症等認知障害や精神障害、知的障害、身体障害、発達障害といった健康状態の人を対象として、その人の資産管理を適切に行う事にによって、本人や家族の生活基盤を安定させ、かつ相続やその後の諸手続き等を円滑にするための財産管理方法として民事信託を利用する種類です。福祉型民事信託は、高齢者や障害者の権利を擁護したり、セーフティネットとして用意されている様々な法制度を補完する役割を担っています(民事信託の法制度補完効果)。
▼資産管理型
福祉型が、現行の法制度を補完する消極的財産管理方法であるのに対し、資産家や中小企業経営者等が、もっと意欲的に利用し、次世代に確実に財産を承継さる等の所有者が現行の法制度を十分に適用しても叶えられない想いや願いを叶えるために利用する種類です。資産管理型は、現在の法制度を超えて財産を管理する積極的な資産管理の役割を担っています(民事信託の法制度超越効果)。
▼事業経営型
事業承継型は、中小企業のオーナー経営者等の主に株式や事業自体を信託して管理する種類になります。代表的な例は、オーナー経営者の中小企業の事業承継です。種類株式や特例承継税制との関係で、優位な事業承継を実現する事ができます。
▼目的実現型
目的実現型は、現在の法制度の制度的保障や法律的保護が十分ではないと感じている方ための想いや願いを実現させる目的を持った種類です。この種類の中には「ペット信託」等も含まれます。買主が亡くなった後の大切なペットのための役割を担っています。
▼遺言型
信託の設定方法は、信託法上、信託契約、遺言信託、信託宣言の3種類の信託行為のいずれかでおこないますが、この遺言信託は2番目の遺言により設定する委託者の単独行為の信託です。通常、民事信託は、委託者と受託者との契約により設定する事が一般的ですが、この遺言信託は、委託者が遺言によって受託者に信託をお願いするところに特徴があります。(勿論、受託者に指定された人は、信託受託者を承諾するか否かを選択できます。)。民事信託の利用方法として、資産の所有者が自身の資産をどのように管理するかを考えるところから始まりますが、遺言信託が効力を発生させる段階は、その資産の所有者が亡くなった後であり、資産の所有者の想いや願いを実現する方法としては、生前に実現させたいという希望が普通であり、例外的に遺言信託の利用が効果的と判断される事案の場合に選択される事が多い種類です。
尚、現在、用語として「遺言信託」には2種類あり、1つは法律的意義、もう一つは商品のとしての意義です。通常、遺言信託といった場合、それは法律的意義の信託であり、信託銀行が顧客の遺言の作成をサポートし、かつ、その遺言の遺言執行者となるサービスとしての商品名である「遺言信託」とは、全く無関係ですので、誤解に注意をして下さい。両者の違いは、法律的意義である「遺言信託」は、信託の設定行為(法律行為)であるのに対し、サービス商品としての「遺言信託」は、単に財産所有者である遺言者の遺言作成とその執行というサービス行為であるところにあります。
▼自己型
通常の民事信託は契約で設定しますが、この信託は委託者と受託者が同一人物という特殊な方法となります。選定方法は信託宣言です。民事信託の利用方法では、実現する目的(本人の想いや願い)が少なく、我が国では殆ど利用されていません。
●資産管理型民事信託の代表的類型
資産管理型家族民事信託とは、資産所有者が、自身の資産を自身が希望したように管理及び承継させようとする資産管理及び財産承継方法となる民事信託です。
家族民事信託では、委託者、受託者、受益者が全て委託者の家族又は親族というとても信頼性の高いスキームで、委託者の希望を達成しようとするところに大きな特徴があります。そして、この設計を資産管理型で実現するのが資産管理型家族民事信託です。資産管理型民事信託は、必ずしも家族間での設計としなければならないわけではありませんが、信託の起源は家族間で利用され、発展してきたという世界の歴史があり、我が国の民事信託の種類の中で家族間での信託は、最も信託に適した利用方法といえるでしょう。特に、今回の「相続人連続指定目的資産管理型家族民事信託」(受益者連続型民事信託)は、その名称の通り、資産が相続財産であるため、設計も自ずと家族間になります。
その資産管理型民事信託の代表的類型は次の通りです。
▼相続人連続指定目的資産管理型家族民事信託(受益者連続型民事信託)
今回のニュースレターで取上げた類型の民事信託です。資産所有者が、自身が死んだ後の事まで考えて、自身の資産の相続人の他、その相続人の将来の相続人へと資産承継をするスキームです。男性又は女性の家系に代々の財産を受け継ぎたいといった想いを叶えるのに利用されます。相続関係では、遺言がありますが、遺言は遺言作成者の法定相続人等の相続持分を変更するのに有用ですが、その法定相続人の財産の承継まで記述する事が法律上できません。そこで、この相続人連続指定目的資産管理型家族民事信託を利用する事で、現在の法制度を十分適用しても不可能な方法を実現する事ができます(民事信託の法制度超越効果)。我が国では、福祉型家族民事信託に次いで多い種類の民事信託であり、その意味では最も信頼性の有る民事信託の一つといっていいでしょう。
▼事業承継目的資産管理型民事信託
会社の経営者にとって、自身が高齢になる前、又は認知症等になった後の事を考えておく事も危機管理の面で非常に大事です。この民事信託は、中小企業のオーナー経営者が、まだ自身が健常である間に、会社の後継ぎである次期経営者を定めて、後継者として育成し、会社の経営権を実際に引渡す時まで、自身がそれまでと同じように経営をハンドリングし、会社を将来に亘り安定的に経営するために利用するスキームです。この類型は、少子高齢社会の中で、創立者等が自身の会社をM&Aするか、自主廃業するかといった問題に直面する前に適切に対処し、将来に向けて会社を存続させるという創立者等の願いや想いを実現するために利用します。
▼株式移転目的資産管理型民事信託
高齢の中小企業のオーナー経営者が、自身の認知症等による精神障害のための議決権行使の問題に対処するため、自身の保有する大多数の株式を自身が定めた子供等の後継者に移転させる「始期付株式信託契約」を締結して、自身が実際に認知症を発症した段階で信託契約を発動させ、自身に代わり株式の議決権を行使できるようにするスキームです。万が一の時でも経営がデットロックに乗り上げる事がなくなり、経営者が亡くなった後もスムーズに株式がその後継者に移転します。株式店契約と異なり、株式信託契約締結時点では、税金は全く発生しません。
▼法制度の補完効果
現行の法制度だけでは不十分な部分を補完して、十分な能力を発揮させる法律的効果の事です。
▼法制度の超越効果
現行の法制度を十分に適用しても限界があり、その限界を超える新たな能力を発揮させるための法律的効果の事です。
●資産管理型家族民事信託
福祉型民事信託には様々な類型がありますが、委託者、受託者、受益者が全て家族という構成の民事信託を特に家族民事信託と呼んでいます。そして、家族民事信託の中で、資産管理形態を目的にした家族民事信託を特に「資産管理型家族民事信託」と命名して当事務所では使用しています。
■資産管理型民事託の代表的設計事例
【事 例】
●家族構成と事実関係
〇本人 A(75歳)
〇後妻 X(60歳)※後妻との間に子供無し。
〇前妻 Y(70歳)※Aとは20年前に離婚。
〇長男 B(45歳)※配偶者有り。子供有り。
〇長女 C(40歳)※配偶者有り。子供有り。
※後妻には兄弟姉妹有り。
※後妻の兄弟姉妹には子供有り。
●事案概要
Aは、自身の健康問題とそれに伴う法律問題で悩んでいた。そこで、Aは、A自身の財産を守るため、そしてその家族の生活の安定的維持のため、様々の法律的解決方法を検討した中で、民事信託の利用が最適である事が判った。Aは、後妻の生活のため、そして、自身の子供に遺産を承継させたいという強よい希望があり、今回民事信託を設計する事となった。
●背景事情
Aは、まだ元気であるが、親しい知人のPが亡くなり、その相続人が資産家であったPの財産について争いが生じているとの話を聞いた。Pには、自宅不動産の他に、賃貸アパート経営のための賃貸不動産、預貯金があった。
Pには子供が複数いて、再婚もしていた。そのため、Pの先祖代々の財産が自身の直系血族の相続人に一部しか承継されず、妻側の姻族に相続されてしまう可能性があったため、遺産分割が紛糾していたのだ。
Aは、自身にも財産が有り、再婚もしているので、同じような境遇になる事が心配になり悩んでいた。
●Aの想いと願い
Aは、再婚をした後妻のXの生活が心配であった。そのため、自身の遺産でXには不自由なく生活を送って欲しいと願っていた。しかし、自身の遺産をXに相続させてしまうと、その財産はXが死んだ後、Xとの間に子供がいないため、Xの兄弟姉妹に承継されてしまう。Aは、Xの兄弟姉妹には未だ会った事は無く、そのXの兄弟姉妹に自身が遺した財産が承継される事は納得いくはずがなかった。更に、Aには前妻Yとの間に、可愛がっていた子供がおり、現在も仲良く暮らしている。自身の財産を相続させるには自身の直系血族しかないと思っていたAは、まず後妻のXに、そして次に自身の子供のに自身の遺産を承継させたいと強く思っていたのだ。子供も自身の財産で孫に安定した生活が保障でき、自身が死んだ後も家族に幸せになって欲しいと願っていた。
●Aの想いや願いの問題点と民事信託の有効性
Aの希望を法律的に解釈すると、まず、第一にAの遺産を後妻のXに承継させ、第二にAの実子であるBとCに承継させたいという事になります。
<Aの遺産の法定相続人>
A(被相続人)
⇓
X(配偶者、後妻)並びにB(実子長男)及びC(実子長女)
Aの法定相続人は、現配偶者(後妻)であるXと実子であるB(長男)とC(長女)になります。前妻であるYは既に離婚をしていますので、離婚当時の財産分与や慰謝料はその段階で清算されており、法定相続人とはなりません。
従って、Aの遺産は、Aが死亡した段階で、X、B、Cに相続されますが、Aの希望は自身の財産は自身の直系血族にのみ承継させ、姻族には承継させたくないというものです。Xの法定相続人は、Xの兄弟姉妹ですので、このままではAの遺産の一部は法律上当然に姻族側に承継されてしまいます。
Aが遺言を作成したらどうでしょうか。確かに遺言は法律上、強い効力がありますが、万能ではありません。例えが、Aが自身の財産をXに相続させると遺言した場合は、Xが死亡した後に、Xの兄弟姉妹に承継されてしまいます。Aが自身の財産を直系血族であるBとCに相続させるという遺言をした場合には、Xの兄弟姉妹には自身の遺産を承継されませんが、それでは、Aの当初の願いである後妻Xの生活を支援する事は不可能です。
それでは、後妻XにAの血族であるB及びCへXが承継した遺産を相続させる旨のの遺言を作成する約束をしたとしたらどうでしょうか。これも事実上は困難である場合があります。
遺言は法律上、その遺言者がいつでも撤回でき、常に新しい遺言が有効になります。Aが死んだ後、Xとの約束を果たしたいと思っても、人の人生には色々な障害に遭い、またXの兄弟姉妹からの要望で、Xの遺言が書換えられないとも限りません。そのため、Aにとって大切な子供であるBとCの法的安定性が問題となるのです。
つまり、Aの希望は、現行の法制度では限界があり、例え工夫しても必ずAの希望が実現できる保証はないという事です。
そこで、民事信託の利用が有効になります。民事信託は現行法制度では実現できない時、利用を検討される法律的解決策で、この問題も民事信託の法制度超越効果により、Aの想いを達成でき、願いを叶える事ができるのです。
民事信託では、財産所有者の遺産を、その財産所有者の希望の通り、適法に順次承継させる事ができます。
●初回相談から事件依頼までの流れ概要
A氏は、ホームページで検索して良さそうな法務事務所を選択し、問合せフォームで事情を相談した。数日後、 司法書士 W法務事務所の司法書士Wから返信があり、一般的な回答であったが、Aの希望を叶えられる法律的方法がる事、その方法は民事信託という方法である事が記載されていた。そこで、A氏は、法律相談の料金や本件の依頼料等概要を聞いた後、正式な予約を申込み、初回法律相談に臨む事になった。
この「法律相談」は、依頼を前提するものではなく、あくまでも現在の法律問題を関係資料を実際に確認し、事実関係や背景事情を基に法律的解決策を司法書士が回答するもので、相談者は、この相談後、必ずしも事件を依頼する必要は無く、又司法書士も改めて資料等実際に確認し、具体的な法律相談について事実聴取し、事件の依頼が有った際は、受任するか否かを判断するために設定するものになっていた。
A氏は都心にある高齢者倶楽部の会員であったので、その帰りに司法書士Wと会う約束にしていた。司法書士Wから、その高齢者クラブの最寄りの駅付近に高層ビルがり、その最上階のカフェを提案されたので、そこに向かった。高速エレベータで最上階に着くと、フレンチや中華といった幾つかのレストランやバーが並ぶ中、指定のお洒落なカフェに入った。
窓際の席には司法書士Wが既に到着していて、A氏に向かって手を挙げ、合図していた。A氏は事前のオンライン無料法律相談で、当日の服装を伝えていて判ったのだった。A氏と司法書士Wは、互いに会釈をし、簡単な挨拶を交わすと、椅子に座った。司法書士Wは自身の身分証明書を提示し、A氏は相談料を支払い、司法書士Wは領収書を渡した。簡単な雑談の後、司法書士Wは、ここでのドリンク代はW法務事務所負担である事を告げ、A氏に飲物をオーダーするように勧めた。窓の外には、晴れ渡った青い空と大都会のジオラマが広がっていた。
コーヒーができ上がると司法書士Wは、早速法律相談に入った。司法書士Wは、事情聴取後、解決策を提案した。A氏は、今回の法律相談は初めてであり、色々な法律用語も織り交ぜながらの司法書士Wの話に、不明点を率直に質問し、司法書士Wに実現可能か訊いてみた。司法書士Wは、Aの希望を遺言等の一般的な相続法務からの提案では、満足にいかせる事は難しいとの心象を得ていた。そこで、資産管理型の家族民事信託を提案した。司法書士WはAの家族からも話を聴かなければならないが、基本的に希望は叶えられるのではないかとの回答した。そこで、A氏は、司法書士Wに自分の事案を依頼した。司法書士Wは、本事案を事件化する事に賛成し、喜んで本件事件を受任した。
●Aの財産
〇自宅不動産
〇賃貸用不動産(2筆及び2個)
〇別荘
〇自家用車 3台
〇事業用車 1台
〇預貯金
〇年金
〇生命保険
〇有価証券(投資用)
【本件事件の法律的解決策】
●本件事件の問題点である相続人連続指定とその実現策
相続は、遺産相続の際、争いの原因となる事が多い遺産分割協議を回避する事が賢明です。そのため、遺言を作成し、更にその遺言の中で遺言執行者を指定しておく事で、確実に財産所有者である遺言者の願いを叶える事ができます。
しかし、この遺言も万能ではありません。まず、遺言はいつでもその内容を撤回できる事、また新しい遺言はいつでも作成できる事、遺言は常に最新の遺言が有効である事、また、遺言が必要な時は既に財産所有者である遺言者はこの世に存在せず、遺言書自体が発見されない事がある事、遺言が見付かっても、その遺言は遺されたある相続人にとって不利な内容であれば、その遺言書自体に争いが生じ、長く訴訟等で遺産の承継ができなくなる恐れがある事等により、法的安定性が損なわれる恐れもあります。
また、現行の相続法では、財産所有者である遺言者の遺産は、基本的に遺言者の希望通りに誰に何を承継させるかを決める事ができますが、その相続人の相続人を指定して、財産の承継者に遺産を承継させる事はできない事になっています。つまり、遺言でできるのは、自身の法定相続人までで、その法定相続人の法定相続人以降に対して遺言をしても無効となるのです。
このように、現行の制度を十分に適用しても限界があり、今回の依頼者であるA氏の想いや願いは実現させるためには、その限界を超える新たな能力を発揮させるための法律的施策が必要になります。
本件事件では、この問題を解決するために司法書士Wは資産管理型民事信託を採用する事にしたのでした。そして、相続人への順次遺産承継という事件なので、民事信託を家族民事信託としました。依頼者A氏の依頼は、自身の財産の享受を最初は配偶者である後妻Xに、そして後妻Xが亡くなった後には自身の実子であるB(長男)及びC(長女)に承継させたいという内容でした。この依頼内容は、まさに民事信託の代表的事例の一つであり、民事信託の最も適した事案だったのです。
●相続人連続指定目的資産管理型家族民事信託の設計上の注意点
基本的スキームは、民事信託で実現可能である事は解りましたが、実際の設計段階では、A氏の具体的な財産の内容の調査、法定相続人とその各々の遺留分、各法定相続人の意見等を十分に聴取し、問題の無い設計内容にしなければなりません。
また、民事信託は、委託者、受託者、受益者が必要であり、A氏の家族の誰がどのような担当になれば適切かを検討しなければなりません。
更に、税務面で思いもかけない税金の発生を防止しなければならず、欲を言えば節税対策になれば更に良いでしょう。
このような詳細な事項を具体的な設計段階に入る前に行う必要があり、場合によっては、受任した司法書士Wは、民事信託に強い税理士や他の弁護士、司法書士とチームを組んで臨む事も珍しくありません。そのため、事情聴取と設計スキームの決定まで数カ月かそれ以上の期間を要する事も踏まえておかなければならないのです。逆に言うと、このような綿密な設計をする事が、依頼者の希望を実現させるためには必要であり、決してモノを左から右へ単純に動かすような法律実務ではないという事を依頼者もその家族も、そして司法書士自身も心して掛からなければなりません。
このような検討期間、設計段階を経て、相続人連続指定目的資産管理型家族民事信託の契約書は完成させ、不動産については登記を完了させます。そして、司法書士Wは、この民事信託契約が適法に成立した後も、少なくても数年間は依頼者Aや民事信託当事者(委託者、受託者、受益者)に対し、法律顧問の役割を果たしていく事になります。
■相続人連続指定目的資産管理型
家族民事信託の設計スキーム
●信託財産
〇自宅不動産
〇賃貸用不動産(2筆及び2個)
〇別荘
〇自家用車 3台
(4ドアセダン1台(自分用使用)、ワンボックス1台(家族用として使用)、スポーツカー1台(趣味用))
〇事業用車 1台
〇預貯金から引出した一部の金銭(信託財産管理用)
本件の場合、信託財産は、自宅不動産、賃貸用不動産、別荘、自家用車3台事業用車1台、預貯金から引出した一部の金銭とします。
自宅不動産は、大きな修繕の必要性や高齢者老人介護施設等に入居の場合、売却も視野に入れておかなければなりません。また、賃貸用不動産は、投資用として今後も適法に管理経営させるため信託します。別荘は、将来のA氏の家族のために適法に相続させる必要があります。自家用車3台もA氏の家族のために相続の対象とするため信託します。事業用車は、賃貸用不動産の経営に必要なため一緒に信託をします。
●民事信託の当事者
〇本人 A(70歳)=依頼者=委託者兼第一次受益者
〇後妻 X(65歳)=第二次受益者
※後妻との間に子供無し。
〇前妻 Y(65歳)※Aとは20年前に離婚。
〇長男 B(45歳)=受託者兼第三次受益者兼残余財産帰属権利者
※配偶者有り。子供有り。
〇長女 C(40歳)
※配偶者有り。子供有り。
委託者は、財産の所有者になりますので、本件事件では委託者が依頼者のA氏になります。
受託者ですが、A氏との信頼関係があり、A氏が自身の財産は自身の直系血族にしたい旨希望している事から、長男Bにしました。長男Bは日々仕事で多忙ではありますが、A氏の財産には賃貸不動産が含まれており、賃貸アパート経営のセンスも必要としていたため、大学の政治経済学部で経済学を専攻し、大学院で経営学の修士号も取得している長男Bが最適と考えられたためです。
受益者は、受託者が管理運用する信託財産から利益を得る者です。本件事件では、A氏は健在で、自身が亡くなった後の財産管理が相談の中心的問題であるので、第一次受益者として依頼者であり委託者のA氏とします。この事により、A氏は信託した自身の財産を自身が存命中は、自身の財産であった信託財産から、信託前と同じように自由に利益を得る事ができます。この委託者と受益者を同一人物とする信託スキームを自益信託といいます。
更に、民事信託の設計では、信託財産の管理運用と同時に、税務面での考慮が必要になります。信託財産の元の所有者は委託者であり、信託後もその委託者が信託財産から利益を得る自益信託は、委託者から受託者に信託譲渡された行為につき、贈与税が発生しません。また、信託譲渡した委託者に対する譲渡所得税や受託者に対する不動産取得税の課税もありません。
このように、自益信託とするスキームにする事により、実質的な利益の変動が無いまま、財産を譲渡(信託譲渡)する事ができるのです。
次にA氏が亡くなった後の事も検討しておかなければなりません。受益者であるA氏が亡くなった後は、相続の問題になりますが、既にA氏の主な財産は信託していますので、A氏の相続財産になりません。しかし、受益者であるA氏が亡くなっているので、信託を続けるためには第二受益者を選定しておかなければなりません。
本件事件では、A氏は自身が亡くなった後の後妻Xの生活を心配していました。そこで、A氏の信託財産によって利益を得る第二次受益者を後妻のXとします。この事により、後妻Bは、A氏が亡くなった後も、A氏が存命中であった時と変わらない暮らしが保障されようになります。
更に、信託終了時の信託財産の帰属先を信託終了時の受益者としておき、後妻Xが亡くなった後は、第三次受益者を受託者である長男Bにし、A氏の信託財産の受益権を承継させ、その後、長男Bの判断で信託を終了させ、残余財産帰属権利者である受益者の長男Bが最終的にA氏の財産を相続する形を創り上げるのです。
この民事信託スキームにより、受益者を連続して指定する事で、A氏の信託財産からの利益を享受する者を財産所有者であるA氏が決めておき、A氏の財産の利益を他のA氏の姻族に流出させる事を防ぎ、最後にA氏の信託財産そのものをA氏の直系血族に承継させる(敢えて言い換えれば第二世代後に相続させる)事を実現できる事になります。当初のA氏の想いを達成させ、願いを叶える相続人連続指定目的資産管理型家族民事信託が結実するのです。
※一般的に、後妻X(A氏の法定相続人)に受益権が移転する際、A氏の他の法定相続人である実子から後妻Xへの遺留分額減殺請求権の行使の可能性を考慮して、信託不動産の受益権を収益受益権と元本受益権に分割して、受益権を複層化する設計もあります。このニュースレターでは、信託当事者は司法書士Wの提案した設計スキームを全員承諾している事、また事例を単純化するため受益権の複層化を考慮していません。尚、収益受益権とは、信託が設定されている期間、その信託財産から生じる収益(例えばアパートの賃料収受権や居住権等)を享受する権利であり、これに対して、元本受益権とは、信託の終了時において信託財産自体を受取る権利の事をいいます。
●信託財産以外の財産と遺留分の侵害
〇預貯金
〇年金
〇生命保険
〇有価証券(投資用)
本件事件では、依頼者の資産が比較的多くある事から、A氏の死亡後の相続問題である遺留分を考慮しなければなりません。民事信託は、応用範囲が広い法律解決策ですが、唯一遺留分については侵害する事が出来ないからです。遺留分が問題となるタイミングは、委託者兼受益者のA氏が死亡した時です。この段階で、A氏の所有財産が遺産となり、相続の対象となるからです。
A氏の財産は、信託した財産と信託しなかった財産があります。A氏の法定相続人は後妻Xと実子である長男B及び長女Cになります。各々の法定相続分と遺留分はは、次のようになります。
〇後妻X 4分の2(遺留分8分の2)
〇長男B 4分の1(遺留分8分の1)
〇長女C 4分の1(遺留分8分の1)
A氏の相続対象財産には、A氏が信託した信託財産から利益を受ける権利である受益債権も含まれます。つまり、A氏の相続対象財産は次のようになります。
▼A氏の相続財産
〇預貯金
〇年金
〇生命保険
〇有価証券(投資用)
▼信託財産
〇受益権
本件事件では、長女Cは、既に結婚して子供もいるため、不動産や車を相続する事は希望していませんでした。そのため、信託財産以外の財産を確保し、長女Cの法定相続分に見合う十分な金銭でA氏が亡くなった際の対処をする事でA氏と長女Cは合意をしていました。
従って、本件事件では、家族間の争続である相続という問題を事前に回避していますので、そもそも遺留分の問題は生じませんが、仮に後妻Xと長女Cが折り合いが悪く、この民事信託自体に反対しているような場合はどうでしょうか。
このような場合について、想定してみます。本件事件の信託スキームでは、第二次受益者を後妻Xとしています。つまり、後妻Xは十分な受益権を取得していますので、遺留分侵害の心配はありません。
長男Bは、A氏の相続財産の取得はありませんので、遺留分侵害請求権者ととなります。しかし、この信託スキームは、委託者である父親A氏とその実子である長男Bとの民事信託契約で成立したものであり、長男Bは第三次受益者の地位とこの民事信託契約を終了させる権限が付与された残余財産帰属権利者の指定を受けた者です。つまり、最終的にはA氏の信託財産は全て長男Bに承継される事が予め決まっていますので、遺留分侵害額請求権を行使する事は想定できません。
従って、遺留分が侵害される恐れがあり、遺留分侵害額請求権の行使が想定される法定相続人は長女Cになります。
そこで、長女Cが遺留分の侵害額請求権を行使するかですが、本件事件では、父親である委託者Aと後妻X、長男B、長女Cとが、協議の上、民事信託の設計に入っているので、現実に長女Cが遺留分侵害額請求権を行使する局面は考えずらいでしょう。仮に長女Cが遺留分侵害額請求権の行使をするようであれば、それはそもそもA氏の想いや願いが実現できない事と同義であり、遺された家族の暮らしを想い、幸せを願うA氏の希望が実現できない事になってしまいます。
このような問題を回避するため、民事信託を設計する場合、予めこの民事信託契約が効力を生じた後の事や終了させた時の事を検討して、名実共に民事信託を成功に導く事が必要にないります。
本件事件では、A氏の遺産の8分の1を超えない範囲で、相続財産を長女Cに承継させる事が必要なります。このため本件事件では、信託しない財産を確保し、その財産の中から長女Cに対し、遺留分相当額の財産を給付する事にします。
尚、この相続人連続指定目的資産管理型家族民事信託の設計では、後にA氏が死亡した時の遺産の相続に備え、全相続財産の各配分の公平性から、A氏の生命保険の受取り人を長女Dにしました。長女Dもこの件については同意しています。
また、後妻Xは、A氏が亡くなった後も居住していた不動産に当然に住み続ける事は前提になっています。
■民事信託と任意後見制度の連携
●任意後見制度の必要性
超高齢社会の中で、誰もが認知症を発症する可能性があります。現代は契約社会です。本人の意思の尊重という理念の下、誰もが契約により社会生活を営んでいます。しかし、認知症になった場合、判断能力が低下又は喪失するため、本人の意思の尊重や自己決定権の尊重といった理念が逆に本人の社会生活を障害する事態を惹き起こします。日常生活における日用品の購入であれば問題無く生活できる場合もあるでしょう。しかし、契約行為を必要とする関係では、途端に生活が困難となってしまいます。
そこで、我が国は、高齢者の認知症等の認知障害により、社会生活に支障が生じる事を想定して、法定後見制度(成年後見制度)と任意後見制度という法制度を制定しました。法定後見制度は、既に認知症により判断能力が低下又は喪失している高齢者を対象にした家庭裁判所により設定するセーフティーネットの役割を果たします。
このニュースレターでは、民事信託で依頼者の問題解決を果たしましたが、実はこの民事信託だけでは、依頼者の本当の依頼の趣旨を解決しているとは言えないのです。
A氏は、後妻Xや実子の長男B、長女CのA亡き後の暮らしを案じ、幸せな生活と願っていました。しかし、A氏が高齢のため、認知症になり判断能力を喪失してしまった場合、もはやA氏の信託財産としなかった財産は誰が管理をするのでしょうか。
この時代の問題に応えるのが任意後見制度です。任意後見制度は、本人の身上保護と財産管理の二大使命を果たすため、A氏と任意後見契約を締結する第三者です。任意後見人は、A氏が認知症により判断能力を喪失した後に、責任を持ってA氏所有の財産を管理するA氏の公式な法律上の代理人です。
司法書士Wは、A氏の相談内容を聴取していく中で、A氏自身が気が付いていない問題がある事に気が付きました。A氏の究極の願いはAファミリーの幸せです。そして、その幸せに役立つのがA氏の財産になります。A氏が亡くなった後の事は民事信託で対処できますが、問題はA氏の生前に起きる問題どうでしょうか。A氏が認知症になり、銀行預金が引出せなくなったり、有価証券の売買が不可能になったりする事で、A氏の財産が凍結してしまう財産凍結問題に対しての対処ができていないのです。
そこで、司法書士Wは、A氏に対し、人の生前に起きる財産凍結問題について、詳しく説明して、任意後見制度の活用が必要な事を教示しました。
A氏は、当初、自身が死んだ後の事しか考えていなかったですが、司法書士Wの説明で、現在の対処も必要である事が解りました。そして、A氏は、司法書士Wに対し、この機会に法律的対策の万全性を確保すべく、任意後見制度による自身の身上保護と財産管理のためのスキームについて依頼しました。
●A氏の認知症発症と身上保護、財産管理
A氏が元気なうちは、相続人連続指定目的資産管理型家族民事信託契約に従い、A氏の思う通り長男Bは資産を管理・運用し、A氏が認知症等により判断能力(意思能力)が低減又は喪失した後は、信託財産においては当初設定した相続人連続指定目的資産管理型家族民事信託契約に従い、長男Bは父親Aのために、A氏の希望通りに信託財産を管理・運用できます。
今問題なのは、信託しなかった財産の管理です。それは任意後見制度を利用する事により、任意後見人を選定して、その任意後見人候補者とA氏とが任意後見契約を締結する事が必要になります。
任意後見制度における任意後見人の役割は、本人の身上保護と財産管理です。この役割は、第三者が財産管理を行うという制度上、一部に本人の家族との間で、意見の衝突等の軋轢が生じる事もあるでしょう。更に、本人の身上保護もするため、認知症発症前の本人の考え方や暮らしぶりを知らない第三者は、時として十分な身上保護が尽くせない事も想定されます。
このような問題から、当法務事務所では「家族任意後見人」を推奨しています。本人の家族であれば、本人の事を十分に理解しており、第三者にはない愛情を持って接する事ができ、十分な身上保護が期待できます。また、本人の財産管理についても、本人を第一に考え、本人のための財産の管理・運用が期待できるので、まさに適任ではないでしょうか。任意後見人には、A氏の身上保護の他、財産管理も可能ですが、特定の財産管理に対しては、公的機関の関与、第三者による財産監督、各種報告及び説明義務、任意後見監督人への報酬といった任意後見制度特有の制度的制約があり、必ずしも高齢者本人及びそのご家族にとって有効性がるかは評価の分かれるところです。このような理由からも「第三者任意後見人」ではなく「家族任意後見人」の存在が心強いところです。
▼任意後見制度の利用
〇任意後見人 長女C
そこで、司法書士Wは、A氏と話合い、任意後見人に長女Cを選定する事にしました。長女Cも喜んで承諾し、任意後見契約により、父親であうA氏が認知症を発症した後は、実子である長女Cが責任を持って父親であるA氏の身上保護及び信託しなかった財産の管理を行います。
具体的には、任意後見人には、長女Cを選任します。長女Cは、被後見人の長女であり、年金の管理、医療費の支払い、生命保険の契約継続、入院時の対応、施設入所時の契約等、的確に日常の生活を見守る事ができる立場です。実際の局面では、A氏の配偶者であり、被任意後見人の配偶者であるX(又は長男B)と協力して身上保護を行っていく事になるでしょう。
▼任意後見人管理の財産
〇預貯金
〇年金
〇生命保険
〇有価証券(投資用)
A氏は、今回の相談で、後妻Xについても身上保護が必要になると考え、また機会を見て司法書士Wに相談する意向を示しました。
父親であるA氏が認知症発症等の後、任意後見受任者である長女Cが家庭裁判所に任意後見監督人選任の選任を申立て、正式に任意後見契約が発効します。
この任意後見制度の利用により、日常生活は任意後見人長女Cによって、特定の財産管理は相続人連続指定目的資産管理型家族民事信託の利用により、受託者長男Bによって、各々問題無く機能します。この事により、A氏の家族全員の生活の安定化に繋げらる事になるのです。
尚、受託者と任意後見人が同一人物となる民事信託上の設計は、法律上困難となるでしょう。何故なら、任意後見人は本人の代理人として、受託者の監督権限等があり、両者を同一人とすると、利益相反関係が生じてしまうからです。
また、信託法では、受託者は信託管理人、信託監督人、受益者代理人になる事ができないと規定されており、任意後見人は受益者代理人に準じるものと考えられるためです。
尚、家庭裁判所が選任する任意後見監督人に対する報酬は必要なります。
また、任意後見制度は、A氏本人の死亡により終了しますが、信託財産の目的としなかった他の財産は、A氏の遺言により、長女Cへその大部分が相続されます。
因みに、配偶者X(後妻)は、A氏が亡くなった後、第二受益者として受益権を取得し、信託財産から十分な利益を享受できますので、何の心配も無く生活する事ができます。勿論、住み慣れた家に住み続けられる事は言うまでも有りません。
※この事例は、架空のものであり、実際の事件とは異なります。
いかがでしょたでしょうか。
今回は、民事信託の種類の中で、資産管理型民事信託について取上げ、類型は相続人連続指定目的資産管理型民事信託を採用し、その信託当事者を全て依頼者の家族とする家族民事信託の設計スキームとしました「相続人連続指定目的資産管理型家族民事信託」を紹介しました。
民事信託は、特定の資産の管理・承継のための法技術です。そして、この民事信託に一つとして同じ物は無い依頼者のオーダーメイドの法技術になります。時には困難な場合もあるでしょう。しかし、この民事信託を知って頂き、自身の思いを達成させ、願いを叶える方法として知って頂き、是非民事信託を試みてみてはいかがでしょうか。
資産管理型民事信託のご相談は、民事信託法務を専門分野又は取扱分野としている法務事務所の司法書士にご相談して下さい。
願いが叶う画期的な法技術 民事信託で明日への希望を
※司法書士は、法律問題全般を扱う身近な暮らしの中の法律専門実務家です。
(2021年12月2日(木) リリース)
