【ニュースレター2021 ❻ 福祉・相続法務】
福 祉 法 務
資産凍結回避目的
福祉型家族民事信託
基 礎 知 識
ー資産凍結を回避し 自分の資産と家族の生活を守るー
ニュースレター2021の第6回福祉・相続法務は、これまでの入門編の知識を踏まえ、民事信託の代表的な利用方法について取上げる基礎知識編です。
今回は、福祉型家族民事信託の類型の中で、日本で最も利用されている「資産凍結回避目的福祉型家族民事信託」をテーマにします。この類型は、福祉法務として民事信託を利用する上で最も基本的な利用形態あり、かつ現在の超高齢社会で高齢者とその家族を守り、高齢者の資産を活かすための代表的基本設計形態といってもいいでしょう。実際としても実績の豊富な最も信頼性の高い民事信託になります。
福祉法務の福祉型家族民事信託の特長である法制度補完効果がどのように発揮されるかをご覧下さい。
尚、このニュースレターで使用される「資産凍結海保目的福祉型家族民事信託」等の用語は、当事務所特有の実務用語で一般的用語ではありません事を予めご了承下さい。
<CONTENTS>
■民事信託の代表的種類とその有効性
■福祉法
財産凍結回避目的福祉型家族民事信託の代表的基本設計事例
【事例】
【本件事件の法律的解決策】
■福祉法務の世界
■民事信託の代表的種類とその有効性
●民事信託の代表的種類
民法の特別法である我が国の信託法は、商事信託と民事信託という2大利用方法の基本法として機能し、これまでは貸付信託や株式投資信託等といった商事信託の利用方法で信託銀行によって活用されてきました。現在、利用が拡がっているのが民事信託です。
民事信託の歴史は、営利を目的としない特に個人間の契約により、主に親族の間で発展してきました。我が国でも信託法を利用した個人間の資産管理及び財産承継方法として、その活用は拡がりの一途を辿っています。民事信託は、全てオーダーメイドで設計できる個人の希望を叶える可能性の高い資産管理及び財産承継方法で、その基本的な活用方法として一番知られているのが、親族間で設計する福祉型家族民事信託です。
ここで、民事信託の種類を体系的に整理してみましょう。
▼福祉型家族民事信託
委託者、受託者、受益者が全て委託者の家族又は親族である信託です。委託者の現在及び将来を守り、いかに委託者の資産を自身のため及び大切な家族のために管理及び利用するかという想いを実現させ、将来の家族生活に対する願いを叶える事を目的にして設計され、法定後見制度や任意後見制度と共に福祉法務の制度的利用の一翼を担っています。超高齢社会の我が国では、民事信託を効果的に利用し、高齢者の権利が十分に果たされる事が期待されています。代表的基本設計形態の類型としては、資産凍結回避目的福祉型家族民事信託や資産凍結回避・遺言代用目的福祉型家族民事信託があります。福祉型家族民事信託は、我が国で最も多く利用されており、信頼性も高い種類の民事信託になります。
資産凍結回避目的福祉型家族民事信託は
民事信託の中で最も代表的で
信頼性が高く
利用されている種類の
福祉型家族民事信託
▼資産管理型民事信託
福祉型家族民事信託とは対照的な信託の種類がこの資産管理型民事信託です。福祉型家族民事信託が、高齢者や障害者の方々の権利を擁護し、法定後見制度や相続制度の不十分な部分を補完する「法制度補完効果」を利用しているのに対し、この資産管理型民事信託は、特に不動産等の所有者や中小企業経営者、資産家等が民事信託をもっと意欲的に活用し、次世代に確実にその資産を承継させる等、現行の法制度を全て適用しても実現できない「法制度超越効果」を発揮させた資産家の現在の想いを実らせ、将来の願いを叶える事を目的とした信託です。代表的基本設計形態の類型としては、相続人連続指定目的資産管理型民事信託、相続資産連続指定目的資産管理型民事信託があります。最近、この種類の民事信託が増加傾向にあるようです。
▼事業経営型民事信託
株式を信託財産として、株式が持つ議決権等の会社参加権である共益権や配当を受ける自益権を目的に応じて管理し、経営者の現在及び将来の問題を克服するためのスキームや会社等の事業主体が委託者や受託者となり、会社の特定の事業を信託財産として、事業改善等を行うスキームです。代表的基本設計形態の類型としては、始期付株式移転目的事業経営型民事信託、後継者指定目的事業経営型民事信託、事業承継目的事業経営型民事信託があります。この民事信託の種類は、これまで主に中小企業のオーナー経営者の方が、自社の後継者を選定し、引継ぐ際に利用される事が多くあります。
▼目的実現型民事信託
資産管理型民事信託や事業経営型民事信託は、特に資産家や中小企業経営者等が自身や自社の株式等の資産を現行の法制度を超えて利活用し、有効に管理及び承継したいという想いや願いを叶える事が目的であるのに対し、この目的実現型民事信託は、自身の考えや悩みそのものに注目して、民事信託のスキームを設計し、財産管理を消極的又は積極的に利用する事により、本人の目的を達成しようとする信託です。代表的基本設計形態の類型としては、買主の死後のペットの世話を目的実現型民事信託を利用して解決するペット補償目的目的実現型民事信託があります。この民事信託の種類は、あまり事例が無く、今後利用が拡大されると考えられます。
▼遺言信託
信託の設定方法は、信託法上、信託契約、遺言信託、信託宣言の3種類の信託行為のいずれかでおこないますが、この遺言信託は2番目の遺言により設定する委託者の単独行為の信託です。通常、民事信託は、委託者と受託者との契約により設定する事が一般的ですが、この遺言信託は、委託者が遺言によって受託者に信託をお願いするところに特徴があります。(勿論、受託者に指定された人は、受託者を承諾するか否かを選択できます)。民事信託の利用方法として、資産の所有者が自身の資産をどのように管理するかを考えるところから始まりますが、遺言信託が効力を発生させる段階は、その財産の所有者が亡くなった後であり、財産の所有者の想いや願いを実現する方法としては、生前に実現させたいという希望が普通であり、特に遺言信託の利用が効果的と判断される事案の場合に選択される事が多い種類です。
尚、現在、用語として「遺言信託」には2種類あり、1つは法律的意義、もう一つは商品のとしての意義です。通常、遺言信託といった場合、それは法律的意義の信託であり、信託銀行が顧客の遺言の作成をサポートし、かつ、その遺言の遺言執行者となるサービスとしての商品名である「遺言信託」とは、全く無関係ですので、誤解に注意をして下さい。両者の違いは、法律的意義である「遺言信託」は、信託の設定行為(法律行為)であるのに対し、サービス商品としての「遺言信託」は、単に財産所有者である遺言者の遺言作成とその執行というサービス行為であるところにあります。
信託の設定方法は、信託法上、信託契約、遺言信託、信託宣言の3種類の信託行為の中で、この自己信託は3番目の信託宣言で設定する特殊な信託です。通常、委託者が自身の財産を受託者に信託譲渡し、その受託者が信託目的に従って信託財産を管理し、その利益を受益者に給付しますが、この信託は委託者が受託者を兼ねる種類となります。委託者の所有する資産の中で、一部の資産に信託を設定する事により、資産が分離され、委託者の資産として所有するのではなく、受益者のために所有管理する特殊な資産(信託資産)になります。この種類の代表的基本設計形態の類型は、文字通り自己信託(自分の財産を他者ではなく自分に信託するという意味。)です。元来、信託は、自身の資産を信頼できる他者に譲渡(信託譲渡)るすところに本来の意義があり、一般的な民事信託の利用方法から見て、委託者が受託者を兼ねる実益があまり無い事から、現在、この種類の信託は多くはありません。
●福祉型家族民事信託の代表的類型
福祉型家族民事信託とは、現在又は将来において「被後見人等」となる人を対象として、その人の資産管理を適切に行う事によって生活基盤を安定させ、かつ相続やその後の諸手続き等を円滑にするためにの手法として民事信託を利用するスキームです。
福祉型家族民事信託では、委託者、受託者、受益者が全て委託者の家族又は親族というとても信頼性の高いスキームで、委託者の希望を実現しようとするところに大きな特徴があります。しかし、信託の起源は家族間で利用され、発展してきたという世界の歴史があり、我が国の民事信託の種類の中で、最も信託に適した親和性のある利用方法といえるでしょう。
その福祉型民事信託の代表的類型は次の通りです。
▼資産凍結回避目的福祉型家族民事信託
今回のニュースレターで取上げた類型の民事信託です。超高齢社会の中で、高齢者の認知症による資産凍結を回避する目的の福祉型家族民事信託です。法定後見制度や任意後見制度では、高齢者自身やその家族の希望を実現できない場合に、法制度補完効果を発揮させ、高齢者が認知症になった後も、あたかも法律上は元気でいるかのような生活を創り上げる事ができます。これにより、公的機関や第三者が介入する事なく、高齢者自身は自分の資産を認知症になった後も思い通りに管理でき、家族は有効に利用する事が可能となります。
▼資産凍結回避・遺言代用目的福祉型家族民事信託
資産凍結回避目的福祉型家族民事信託を更に発展させたスキームで、資産の所有者である高齢者の死後に、高齢者の意思の通りに資産を大切な家族等に承継させる事を目的とした民事信託です。遺言はいつでも撤回が可能であり、相続人の地位が不安定である事、資産凍結回避目的の民事信託を利用しながら、自身が亡くなった後まで自身の想いや願いを繋げる遺言代用設計より、優れた法的効果を発揮し、生前は自分自身、死後は大切な特定の相続人の事を第一に考えた信託です。
▼障害者将来支援目的福祉型家族民事信託
障害者の子供を持った両親の死後の生活支援を補償したいと願う親の希望を実現する信託です。相続人連続指定目的資産管理型民事信託や相続資産連続指定目的資産管理型民事信託といった資産管理型民事信託のスキームを利用し、障害者将来支援補償目的福祉型家族民事信託として機能させる方法です。両親の障害を持った子供への愛情を民事信託の力で実現します。
▼死後事務委任目的福祉型家族民事信託
特定の資産がある場合、単独世帯で暮らしている方の死後の葬儀、埋葬、先祖代々の墓地の管理や先祖供養等の死後事務を確実に行いたいといった希望を実現する信託です。死後事務委任契約という一般的な方法も有りますが、この場合、墓地の管理や先祖供養という継続的な死後事務があるため、スポットで機能する通常の死後事務委任契約では困難な場合があり、相続人ではない遠縁の信頼できる親族等に自身の資産を信託し、その資産で目的を達成しようとするスキームになります。超高齢社会の中で今後の必要性も増すのではないかと考えられます。
福祉型家族民事信託の中で
代表的福祉型民事信託は
資産凍結回避目的福祉型家族民事信託
と
資産凍結回避・遺言代用目的福祉型家族民事信託
■福祉法務
資産凍結回避目的福祉型家族民事信託
の代表的基本設計事例
【事 例】
●家族構成
〇父親(依頼者本人) A(75歳)
〇母親 妻 B(70歳)
〇長男 C(35歳)※配偶者有り。子供有り。
〇長女 D(30歳)※配偶者有り。子供有り。
●事案概要
Aは、自身の健康問題とそれに伴う法律問題で悩んでいた。現代は超高齢社会である。そこで、Aは、A自身の財産を守るため、そしてその家族の生活の安定的維持のため、財産の所有者であるAの身体障害や認知症による精神障害等の危険に対策するべく、様々の法律的解決方法を検討した中で、民事信託の利用が最適である事が判った。Aは、自身の資産凍結問題の回避のため、そしてAの家族は、自分達の安定的な生活維持のため、Aとその家族は、自分達家族だけで今後も安心した生活を送りたいという強い希望がり、今回、民事信託を設計する事になった。
●背景事情
Aは、まだ元気であるが、親しい知人のXが妻に先立たれ、すっかり見なくなっていたところ、近所の友人からXが認知症を発症し、Xの家族はXの預貯金の引出しができなくなったと聞いた。
そのXの家族は、銀行から法定後見人を選定して貰い、法定後見人がXの預金口座の管理を行うので、今後は法定後見人を口座名義人の代理人とする、と言われたとの事。しかし、Xの家族は家庭裁判所に行ったことも無く、たまたまこんな時に、まとまった資金が必要になり、身動きが取れない状況に陥ったという話である。勿論、Xが高齢者介護老人施設に入居する際の契約金として、X所有の自宅を売却する事も法律上は不可能となった。
Aには、遺すべく資産と大切な家族があり、将来の事を考えると、何かの対策をしておきたいと思うようになった。
●Aの想いと願い
Aは、自分が元気なうちは、自分の資産で今まで通り暮らし、認知症を発症する等健康障害になった後は、長男が自分の資産を管理し、その資産から生活費を賄おうと思っている。そして、自分が死亡した後は、Aの希望する通り、その遺産を妻、長男、長女に相続財産として配分し、各々仲良く生活して欲しいとの願いを持っていた。
●初回相談から事件依頼までの流れ概要
民事信託と言えば司法書士と聞いていたので、司法書士に相談しようと思った。しかし、法律実務家という資格者の司法書士に縁が無かったA氏は、ホームページで検索してある良さそうな法務事務所を選択し、問合せフォームで事情を送信した。数日後、司法書士 W法務事務所の司法書士Wから返信があった。その後、司法書士Wが相談事案について法律判断のための必要事項をA氏に質問し、何回かメールの交換の後、一般的な回答であったが、Aの希望を叶えられる法律的方法がる事、その方法は民事信託という方法である事が記載されていた。そこで、A氏は、法律相談の料金や本件の報酬等概要を聞いた後、正式な予約を申込み、初回法律相談に臨む事になった。
A氏は、自宅の最寄り駅付近のカフェで司法書士Wと会う約束にしていた。司法書士WからA氏の住所は、司法書士Wの主要な地理的業務範囲の沿線にあり、直ぐに会えるとの事で、相談場所が決まったのだった。A氏は、時間にそのカフェに到着し、入口の自動ドアが開き、中を見渡した。窓際の席には司法書士Wが既に到着していて、A氏に向かって手を挙げ、合図していた。A氏は事前のオンライン無料法律相談で、当日の服装を伝えていて直ぐに判ったのだった。A氏と司法書士Wは、互いに会釈をし、簡単な挨拶を交わすと、椅子に座った。A氏は相談料を支払い、司法書士Wは名刺と領収書を渡して、簡単な雑談の後、司法書士Wは、ここでのコーヒー代等は事務所負担である事を告げ、A氏に飲物をオーダーするように勧めた。大きな窓の外には、よく晴れた青空と大きな雲が眩しかった。
司法書士Wは、早速法律相談に入った。司法書士Wは、メールでの無料法律相談で相談内容は事前に調査済みであったので、A氏の本人確認や実際の関係資料等の確認と共に事情聴取後、解決策を提案した。A氏は、今回の法律相談は初めてであり、色々な法律用語も織り交ぜながらの司法書士Wの話に、不明点を率直に質問し、司法書士Wに実現可能か聴いてみた。A氏は、自分の資産は基本的に自分で管理したい事、自分達家族が主体になって今後も暮らしていきたい事、この願いは家族皆の統一的考え方である事、この想いが実現できるのであれば、多少無理があっても平気である事等を司法書士Wに気持ちを込めて話をした。司法書士Wは、Aの希望を現行の任意後見制度だけに委ね、また遺言という一般的な相続法務からの提案では、満足にいかせる事は難しいとの心象を得ていた。そこで、福祉型の家族民事信託を提案した。司法書士WはA氏の家族からも話を聴かなければならないが、基本的に希望は叶えられるのではないかとの回答した。そこで、A氏は、自分の事案の報酬を聞いた後、司法書士Wに自分の事案を依頼した。司法書士Wは、本事案を事件化する事に賛成し、喜んで本件事件を受任した。
●Aの資産
〇自宅不動産
〇車
〇預貯金
〇年金
〇生命保険
〇有価証券
【本件事件の法律的解決策】
●本件事件の問題点である資産凍結問題とその回避策
超高齢社会において、資産の所有者が認知症等を発症し、判断能力(意思能力)が減退又は喪失してしまった場合、その高齢者の資産は法律上、管理処分が不可能になり凍結状態になります。例え、家族であっても利用する事はできません。そのため、我が国では、法定後見制度、任意後見制度といった公的制度や私的制度を創設し、超高齢社会の中で、高齢者が法律的不利益を受けずに生活できる制度を制定しました。
本件事件では、相談者である高齢者の資産管理を中心にした内容でした。そして、A氏の家族からは、A氏が認知症になった後も家族水入らずで生活を送りたいという強い願いを聴いていた。
司法書士Wは、相談者が心配している資産管理は、相談者本人の社会生活上の問題でもある事を指摘し、日常の生活支援と共に資産管理をする事がご家族にとっても有効である事を説明した。そして、司法書士Wは、身上保護と資産管理を併用させ、相談者の福祉と資産管理、更にはご家族が水入らずで暮らせるようにする事が本件事件の本当の趣旨であり、究極的なA氏の問題解決んある事を解り易く説明した。納得したA氏は、司法書士Wに制度設計を任せる事にした。
判断能力が低下したら
財産管理が不可能になり
資産が凍結される
⇓
民事信託は
究極的な
問題解決方法
▼法定後見制度
法定後見制度は、高齢者の権利擁護を目的に期待された制度でしたが、高齢者自身の福祉的側面、高齢者の家族との関係、法律判断という独立的専門的判断の意義及び重要性、とりわけ高度な法律判断を伴う法定後見人の立場といった局面で、必ずしも高齢者本人のご家族からは理解が得られていない場合もあり、特に高齢者本人の家族との関係で一部に軋轢が生じている事もまた事実です。
また、法定後見制度は、家庭裁判所が選任した法定後見人や法定後見監督人が高齢者の財産管理を行う制度であり、この制度は財産を積極的に消費するような事は想定しておらず、高齢者の財産をできるだけ減少させない事(消極的財産管理)が目的になっています。そのため、例えば、それまで支援してくれた父親の預貯金も家族や孫のためにも引出せず、高齢者施設への入居のため自宅を売却する際には家庭裁判所の許可が必要になる事や比較的規模の大きな修繕さえも3カ所から4カ所の工務店からの見積もりが必要になり、日常生活の中で、家族は困難な状況に陥ってしまう場合もあり困惑した利用者も少なくない事が言われています。
今後は、法定後見制度における身上保護と財産管理という制度目的において、特に身上保護の福祉的側面と人権擁護の意義の違いを明確化し、創設目的である本来の制度趣旨に合った構造へと是正していく事が課題となるでしょう。
▼任意後見制度
任意後見制度は、本人がまだ認知症等の判断能力(意思能力)が低減していない段階で、信頼できる家族等と認知症になった後の身上保護や財産管理を任せる契約を行う事で本人を代理する制度です。法定後見制度が高齢者が認知症を発症した後に機能する公的なセーフティーネットであるのに対し、任意後見制度は、高齢者本人がまだ元気なうちに、自身で対策する本人の意思が制度に反映できる制度になります。
しかし、任意後見制度も家庭裁判所による任意後見人の監督機関である任意後見監督人の選任が必要であり、法定後見制度に比べて、本人の意思の尊重という理念を前提としており、実質的にも法制度的にも優位ではありますが、財産管理面で公的機関の関与が問題となる局面もあります。特に、任意後見制度も法定後見制度という制度趣旨の中に位置づけられている事から、任意後見制度における「積極的財産管理」が可能かは、まだ目立った議論がなされていない現状があり、財産の投資や投機的利活用といった面ではオーソライズされた制度には至っていません。このような事から、家族以外の第三者が、高齢者本人の財産の管理を監督する事で、家族の中には抵抗感を持つ人達もいるのではないでしょうか。
任意後見制度は、本人の意思の尊重という理念から、制度上、法定後見制度の上位(優位)的な位置付けであり、認知症発症等の前に、本人が積極的にこの任意後見制度の利用を検討する事が賢明でしょう。
但し、身上保護と財産管理の2大制度目的のうち、財産管理については、任意後見監督人という第三者が本人の財産管理を監督するため、その分自由度が減縮する場合もあります。
身上保護については、医療費の支払い、入院時の支援等、高齢者老人介護施設の入所契約等、本人の日常生活に直結した社会的関わり合いに対し、有効に機能する制度になります。
しかし、この任意後見制度もその制度目的は本人の権利擁護です。つまり、福祉・行政的サービスと司法サービスは全く別次元に位置します。その意味では、福祉関係者や行政機関、ボランティア団体等の後見制度関係者はその区別を前提に渾然一体を成すのではなく、連携する事が必要になります。普段の本人の生活面のケアについては、後見人を補助する後見制度支援センター(仮称)等の支援機関の担当者によって果たされ、後見人は権利擁護という中心的部分を担う制度へと発展させていく事が今後の課題となるでしょう。
●資産凍結回避目的福祉型家族民事信託の有効性
本件事件では、A氏はまだ元気である事、A氏に明確な資産管理に対する想いや願いがある事、本件事件は特定の資産管理が目的である事から、法定後見制度の利用は不要であり、任意後見制度については、身上保護を中心的に機能させ、目的資産の管理方法は、公的機関の関与が無い民事信託を採用する事が最も有効となるでしょう。この資産凍結回避のための民事信託を資産凍結回避目的福祉型家族民事信託といいます。
この福祉法務のスキームにより、A氏は、元気なうちは自分自身のために財産を活用でき、認知症等を発症した後は、資産凍結回避目的福祉型家族民事信託により、法律上はあたかもA氏が元気でいるかのような状況を作り出せ、資産凍結が無い生活が家族に保障されます。
そして、A氏の希望の通り、A氏が亡くなった後には、この資産凍結回避目的福祉型家族民事信託を終了させ、民事信託契約の中で条項に従って、A氏の一部の遺産である特定の信託資産を法定相続分に関係無く、A氏の希望の通りに相続人等に承継させる事ができるのです。
●資産凍結回避目的福祉型家族民事信託の設計スキーム
▼信託資産
〇自宅不動産
〇車
〇預貯金
本件の場合、信託資産は自宅不動産と車、預貯金とします。
自宅不動産は、大きな修繕の必要性や高齢者老人介護施設等に入居の場合、売却も視野に入れておかなければなりません。また、車は、認知症になった際は運転は控える事が必要であり、利用中に万が一事故に遭った場合も、相手方や保険会社との交渉も問題無くできます。預貯金については、一般的に譲渡禁止特約約款が付されている事が多いため、一旦、全額引出し、受託者にて新たに信託口口座を開設して、その口座で管理する事になります。
保険は、現在信託財産としての取扱いがなされている保険者が少ない事、年金は、年金受給者本人の一身専属権である事、有価証券は、信託による証券口口座で管理が必要になりますが、有価証券の信託口口座に対応している証券会社が少ない事等により、信託資産としての管理はしません。尚、将来的には、保険や有価証券も信託資産として社会的整備がされる事と思われます。
保険は保険会社との相談や交渉が必要になる事、年金は、本人が管理しなければならない事、また有価証券も第三者の管理には適さない事から任意後見制度での対応が適切になります。
▼当事者等
〇委託者 本人A
〇受託者 長男C
〇受益者 本人A
民事信託は資産の所有者が委託者になります。そして、委託者にとって信頼できる者を受託者に選定します。本件事件では、受託者を長男Cにしました。受託者は、委託者の子供であり、父親の生活支援や資産管理に違和感無い立場です。更に、父親と子供は愛情で結ばれています。委託者と受託者によって民事信託契約をして、法律上の効力を発生させます。
この民事信託によって利益を享受するのが受益者です。この資産凍結回避目的福祉型家族民事信託では、本人Aが受益者になります。つまり、委託者と受益者が同一人物になる設計で、この設計を自益信託といいます。
委託者兼受益者である父親が元気なうちは、自身の監督の下、今までと何ら変わり無く生活ができ、認知症を発症した後は、信頼できる自身の子供が自身の資産を父親のために管理します。
▼A氏の資産管理
A氏が元気なうちは、資産凍結回避目的福祉型家族民事信託契約に従い、A氏の思う通り長男Cは資産を管理・処分し、A氏が認知症等により判断能力(意思能力)が低減又は喪失した後は、当初設定した資産凍結回避目的福祉型家族民事信託契約に従い、長男Cは父親Aのために、Aの希望通りに信託資産を管理・処分できます。
任意後見制度により、A氏の身上保護の他、財産管理も可能ですが、特定の資産管理に対しては、公的機関の関与、第三者による資産監督、各種報告及び説明義務、任意後見監督人への報酬といった任意後見制度特有の制度的制約があり、必ずしも高齢者本人及びそのご家族にとって有効性がるかは評価の分かれるところでしょう。
ご覧の通り、この民事信託のスキームには、家庭裁判所等の公的機関の関与等は無く、A氏とその家族だけで、A氏が亡くなるまで信託資産が管理される事になります。そして、これは、A氏本人及びその家族の思いと願いになります。
このように、福祉型家族民事信託は現行の任意後見制度でもA氏の目的は達成できますが、A氏の十分な想いの実現と家族の願いを叶えるためには、不十分である事が判ります。福祉型家族民事信託は、現行の法制度だけでは不十分な部分を補完して十分な能力を発揮させる法制度補完効果があり、本件事件でも身上保護は任意後見制度、特定の資産管理は任意後見制度を補う福祉型家族民事信託によって依頼者の想いを実現し、願いを叶える事ができるのです。
福祉型家族民事信託は
現行の法制度だけでは不十分な部分を補完して
十分な能力を発揮させる
法制度補完効果がある
▼任意後見制度の利用
〇任意後見人 長女D
A氏の特定の資産管理とは別に、身上保護が必要になります。この点は、任意後見制度が有効です。
具体的には、任意後見人には、長女Dを選任します。長女Dは、被後見人の長女であり、年金の管理、医療費の支払い、生命保険の契約継続、入院時の対応、施設入所時の契約等、的確に日常の生活を見守る事ができる立場です。実際の局面では、A氏の配偶者であり、任意後見人の母親であるBと協力して身上保護を行っていく事になるでしょう。
尚、この資産凍結回避目的福祉型家族民事信託の設計では、後にA氏が死亡した時の遺産の相続に備え、全相続財産の各配分の公平性から、A氏の生命保険の受取り人を長女Dにしました。長女Dもこの件については同意しています。
また、妻Bは、A氏が亡くなった後も居住していた不動産に当然に住み続ける事は前提になっています。
▼任意後見人管理の財産
〇年金
〇生命保険
〇有価証券
更に、年金、保険、有価証券の管理も任意後見人である長女Dが行う事になります。但し、この場合も長男Cの助言等を参考に管理される事になるでしょう。
尚、A氏の妻Bは、高齢である事、今後、A氏と共に助け合って生活をするため、法律上の負担を負わせたくないというA氏の想いと妻Bの気持ちがあり、本件事件のスキームから除きました。
A氏は、今回の相談で、妻Bについても身上保護が必要になると考え、また機会を見て司法書士Wに相談する意向を示しました。
父親であるA氏が認知症発症等の後、任意後見受任者である長女Dが家庭裁判所に任意後見監督人選任を申立て、正式に任意後見契約が発効します。
この任意後見制度の利用により、日常生活は任意後見人長女Dによって、特定の資産管理は資産凍結回避目的福祉型家族民事信託の利用により、受託者長男Cによって、各々問題無く機能します。この事により、A氏の家族全員の生活の安定化に繋げらる事になるのです。
尚、受託者と任意後見人が同一人物となる福祉法務上の設計は、法律上困難となるでしょう。何故なら、任意後見人は本人の代理人として、受託者の監督権限等があり、両者を同一人とすると、利益相反関係が生じてしまうからです。
また、信託法では、受託者は信託管理人、信託監督人、受益者代理人になる事ができないと規定されており、任意後見人は受益者代理人に準じるものと考えられるからです。
尚、任意後見監督人に対する報酬は発生します。
▼A氏の死亡後の財産
そして、A氏が亡くなった後は、資産凍結回避目的福祉型家族民事信託契約を終了させ、その契約条項に従って、A氏の希望の通り、A氏の信託資産(遺産)はその相続人に承継される事になるのです。
尚、任意後見制度は、A氏本人の死亡により終了しますが、信託資産の目的としなかった他の財産は、A氏の遺言により、同様に各相続人に相続されます。
■福祉法務の世界
●福祉法務の必要性
資産凍結回避目的福祉型家族民事信託は、特定の資産の管理及び承継方法です。人は「身体(Body)」、「精神(Spirit)」、「財産(Property)」の三要素からなるとの考え方があります。 特定の資産の管理には民事信託が適しています。しかし、人は財産管理だけでは成り立ちません。普段の高齢者等の生活や高度な法律上の行為、つまり、日用品の購入や高齢者施設入居のための契約行為等は、民事信託の射程外になります。そこで、機能するのが任意後見制度です。任意後見人は本人の代理人として、日用品の購入から遺産分割、訴訟行為まで日常生活から高度な法律上の行為まで様々な事ができます。
すなわち、高齢者等の日常の生活や高度の契約行為は、任意後見人に任せ、特定の資産管理を民事信託で行うという構造的解決策が有効となってきます。現に、現在は、一つの法律的施策で全てを賄うという考え方から、高齢者等の日常から財産管理、そしてそのご家族のための方策として、福祉的施策の体系的な解決方法、福祉法務が求められています。
●福祉法務からのアプローチ
福祉法務は、高齢者等の本人の生前を法律実務の対象と捉えて、次の各施策を展開しています。
▼生前期
〇生前整理
これは、ご本人自身で行うものです。後に遺された人のために、遺品となる物品や口座情報、保険情報等第三者では判らない、また見落とす恐れのある事柄を整理し、解り易すくまとめて置く作業です。遺された人は、ご本人が何を考え、どのようにして欲しかったのか、遺品はどのようにして欲しいのかが解るようになります。まとめた結果をエンゲージメントノート(エンディングノート)に書き記しておく事も有効です。
〇見守り契約
高齢のため体が不自由であったり、認知症の発症が懸念される方のために信頼できる第三者との間で見守り契約を締結する方法です。定期的な連絡やIT危機の利用等により、急な健康上の変化等に的確に対応する事により大事を防ぎます。
〇財産管理委任契約
高齢者が認知症の発症に備えて、信頼できる第三者との間で本人ができない財産管理を代わって行います。この財産管理方法は、一般的に委任契約公正証書になりますが、金融機関等一部の相手方には、包括的な委任契約ではなく、個々に委任状が必要になる場合も少なくありません。この財産管理委任契約の本当の効果が期待されるのは、本人が認知症発症等で、財産管理ができなくなったとき、任意後見契約の発効までの財産管理の不都合を解消するところにあります。そのため、この委任契約と任意後見契約とを連携させ「移行型任意後見契約」と呼ぶ事があります。
〇任意後見制度
任意後見契約法という法令に基づいた公式な私的契約です。この契約は、本人が元気な間に信頼できる第三者との間で任意後見契約を締結し、後に認知症等の判断能力(意思能力)が減退又は喪失した段階から効力を生じさせるもので、家庭裁判所から任意後見監督人が選任され開始します。この制度は、本人の身上保護と財産管理の2つの面で役割を果たしますが、利用方法としては財産管理というより、病院や高齢者サービス等法律的な契約が必要な本人の身上保護面でより有効に機能する制度になります。
〇法定後見制度(成年後見制度)
任意後見制度の対照的制度がこの法定後見制度です。本人が元気なうちに任意後見契約を締結しなかった場合、何らかの方法で社会生活を保障しなければならない事から身上保護及び財産管理の両面で本人を支援する公的制度になります。この制度も法定後見監督人の選任が必要とされる場合があり、また法定後見人自身も本人が選定した者ではないため、元気な頃の本人の考え方や家族との関係等、法定後見人に対し、家族が不信感を抱く場合もあり、制度的拡がりが見られない状況も指摘されています。その反面、法定後見人は、身上保護と財産管理の2大使命がありますが、その中で特に財産管理では、必ずしも本人の家族の意に沿わない法律的判断が求められる場合もあります。この法定後見制度自体は、元々家族とは一定の距離を保たなければならない権利擁護という厳しい基本理念を持つ制度だからです。この制度は、法制度的には本人の意思やその家族の気持ちを前提とせず、家族等からの申立てにより初めから家庭裁判所が関与する制度で、本人の意思能力が減退又は喪失してしまった後に、本人を守る最後のセーフティーネットという捉え方もできるでしょう。
〇福祉型家族民事信託契約
今最も注目を集めている資産管理方法です。現行の法制度の補完し、想いや願いを実現する最先端の法技術です。大きな特徴は、現在の想いの実現と将来の願いの達成に必要な法律的問題を公的機関の関与無しに、自分と大切な家族だけで法律的に解決できる方法です。本人の意思の尊重理念に基づく家族という掛替えのない人達を守るための方法で、その意味で法定後見制度より優位であり、任意後見制度に対しては、資産管理の面で特に優れている方法と言っていいでしょう。
〇遺言
相続は「争続」と言われるように、家族によっては難航する場合があります。精神的に安心し、明日への願いのためにも遺言をしておく事はとても有効です。法令の改正により、不動産等登記登録が必要な財産を所有している方は、遺言自筆証書より遺言公正証書の方を選択する事が優位になりました。
〇遺言執行者指定
本人の死後の事実上の代理人を遺言で指定しておきます。大切な遺言の執行はこの遺言執行者が責任を持って行います。遺言をする場合は、必ず遺言執行者を指定しておく事が重要です。折角作成した遺言も執行する時は本人はいません。相続人の誰かが遺言執行的に手続きをする事は、他の相続人にとって不信感を招く恐れもあり、「争続」を避けたつもりが、大きな争い事に発展してしまう恐れがあるからです。
〇死後事務委任契約
亡くなった後の色々な手続きを「死後事務」といいます。遺言書では遺せない遺志を第三者との間で契約し、死後に契約通りの手続きを行います。
〇死後事務委任目的福祉型家族民事信託
死後事務で継続的事務がある場合等に有効です。
〇エンゲージメントノート(エンディングノート)
一般にエンディングノートと言われているものです。当事務所では、エンゲージメントノートと名付けています。具体的な財産の配分ではない、自分の日常の想いや考え、家族に対する想いや希望、財産に関する個人的管理方法等を書留めておくものです。
▼相続開始後
福祉法務との連携で相続法務があります。福祉的法律手続きと相続的法律的づきは連続性があり、親和性が有ります。そこで、相続法務についてもご紹介します。
〇遺言執行(財産目録)
生前に作成された遺言の基づいて、被相続人(本人)の信頼できる第三者が責任を持って遺言を執行します。遺言執行者は、文字通り「遺言を執行する者」ですので、遺言の存在が前提になります。遺言を作成していない場合や遺言で遺言執行者を指定していない場合は、遺言執行者を観念できませんので注意が必要です。
〇死後委任事務の履行
遺言の内容にはならない身の回りのその他の事務手続きを、生前に契約した信頼できる第三者が行います。死後委任事務の契約で依頼する相手は、できれば遺言執行者が良いでしょう。遺言執行と死後事務はほぼ同時期に行うもので、遺言執行者も本人の事情を知っている事から、適切に死後委任事務を行う事が期待できます。
〇死後事務委任目的福祉型家族民事信託契約の発効
特定の財産がある場合、単独世帯で暮らしている方の死後の葬儀、埋葬、先祖代々の墓地の管理や先祖供養等の死後事務を確実に行いたいといった希望を実現する信託です。死後事務委任契約という一般的な方法も有りますが、この場合、墓地の管理や先祖供養という継続的な死後事務があるため、スポットで機能する通常の死後事務委任契約では困難な場合があり、相続人ではない遠縁の信頼できる親族等に自身の財産を信託し、その財産で目的を達成しようとするスキームになります。超高齢社会の中で今後の必要性も増すのではないかと考えられます。
●自分に合った解決策
「福祉法務」の様々な法律的解決策は、より安心感を得るため、その全てが有効な方法であり消去法で、できれば不要な物だけを取除き、その他の全てを利用して頂く事が良いでしょう。しかし、積極的に特定の解決方法を選んで利用する事も差支えありません。
いずれにしても、利用する場合は、有効に役立つように選択する事が大切です。
判断能力が低減してからでは 有効な制度は選べません
いかがでしたでしょうか。
今回のニュースレターは、高齢者等の本人の生前の財産管理を中心にしたテーマでした。資産凍結問題は、人の生前と死後に別々の原因で起こる現象です。
福祉型民事信託の中で、資産凍結回避目的福祉型家族民事信託は、人の生前に起こる資産凍結問題に対策する代表的基本類型です。
資産凍結回避目的福祉型家族民事信託は、超高齢社会の中で、確実に自身の資産を管理できる事、裁判所等の公的機関の関与無しに利用できる事、民事信託の設計内容は自身で自由に設定できる事、大切なご家族のためにも有効である事等、画期的な法技術である事をご理解頂けたのではないでしょうか。
尚、このニュースレターでの民事信託の種類や類型についての名称(用語)は、当事務所の使用方法よる事をお断りさせて頂きます。また、今回の【事例】は架空のもので、実際のものではありません事も併せて申し添えます。
この機会に、福祉型家族民事信託に関心を持って頂き、ご自身やご家族のための法律的対策をご検討されてはどうでしょうか。
福祉型家族民事信託のご相談は、民事信託法務を専門分野又は取扱分野としている法務事務所の司法書士にして頂く事をお勧めします。
願いが叶う画期的な法技術 民事信託で明日への希望を
※司法書士は、法律問題全般を扱う身近な暮らしの中の法律専門実務家です。
(2021年10月1日(金) リリース)
